STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第113問

臨床神経学第17回
多発性硬化症について誤っているのはどれか。
  1. 1.アジアに多く欧州に少ない。 ✓
  2. 2.中枢神経系に2カ所以上の病変がある。
  3. 3.初発症状として視力障害が多い。
  4. 4.再発を繰り返しやすい。
  5. 5.日本では小脳症状が少ない。

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — アジアに多く欧州に少ない。 多発性硬化症(MS)は欧米の高緯度地域(特に北欧・北米)に多い疾患です。アジア地域は相対的に発症率が低いため、「アジアに多く欧州に少ない」という記述は誤りです。むしろ欧州(特に北欧)で多く報告されています。 --- 【各選択肢の解説】 1. アジアに多く欧州に少ない。 ❌ 誤り。多発性硬化症は欧米、特に北欧・北米などの高緯度地域で高い発症率を示します。アジアは相対的に低発症率です。緯度が高いほど発症率が高いとされており、遺伝的素因と環境要因(日照時間・ビタミンD産生など)が関係すると考えられています。 2. 中枢神経系に2カ所以上の病変がある。 ✅ 正しい。MS診断の重要な定義の一つが「空間的多発性」で、時間経過の中で中枢神経系の異なる2カ所以上に炎症性脱髄病変が出現することが必須条件です。MRIで複数の病変が同定されることが診断的価値を持ちます。 3. 初発症状として視力障害が多い。 ✅ 正しい。視神経炎(視神経脊髄炎)による視力低下がMS初発症状の30~50%を占めるとされており、もっとも頻度の高い初発症状です。急性に片眼の視力低下・眼窩痛が特徴的です。 4. 再発を繰り返しやすい。 ✅ 正しい。特に再発寛解型MS(RRMS)は再発と寛解を繰り返す経過を示すのが特徴です。初発後、多くの患者が再発を経験します。経過とともに二次進行型へ移行することもあります。 5. 日本では小脳症状が少ない。 ✅ 正しい。日本を含むアジア地域では、視神経脊髄炎による視力低下や脊髄症状が主流であり、欧米型の小脳症状(運動失調)の出現頻度は相対的に低いとされています。このため臨床症状の地域差があります。 --- 【試験対策ポイント】 多発性硬化症(MS)の重要知識: | 項目 | 内容 | |---|---| | 地理的分布 | 北欧・北米(高緯度)に多い。アジアは低発症率 | | 病理学的特徴 | 中枢神経の脱髄病変(白質) | | 診断基準の必須条件 | 空間的多発性(2カ所以上)+時間的多発性 | | 初発症状の頻度 | 視神経炎30~50% → 脊髄症状 → 脳幹症状 | | 経過 | 再発寛解型(RRMS)→ 二次進行型(SPMS) | | 日本の臨床的特徴 | 視神経脊髄炎型が主流、小脳症状少ない | **地域差による臨床症状の違い:** - 欧米型:多様な神経症状(小脳・脳幹症状多い) - アジア型:視神経脊髄炎が主体、小脳症状少ない **初発症状の診断学的意義:** 視神経炎の場合、眼科的検査(視野検査・色覚検査)と脳MRIで脳白質病変の有無を確認することが、MS診断に直結する。
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