第17回 言語聴覚士国家試験 第13問
聴覚系第17回
難聴を伴わない疾患はどれか。
a.前庭神経炎
b.聴神経腫瘍
c.ハント症候群
d.メニエール病
e.良性発作性頭位めまい症
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
前庭疾患のうち、難聴を伴わないのは「前庭神経炎」と「良性発作性頭位めまい症」です。これら2つは内耳の前庭系のみの障害で、蝸牛(聴覚)機能は温存されます。一方、聴神経腫瘍・ハント症候群・メニエール病は蝸牛機能も侵襲するため難聴を伴います。
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【各選択肢の解説】
a. 前庭神経炎
✅ 難聴を伴わない。前庭神経のみの炎症性障害で、蝸牛神経(聴覚神経)は保全されるため、聴力検査は正常範囲です。突然の回転性めまい(数日〜数週間)が特徴です。
b. 聴神経腫瘍
❌ 難聴を伴う。一側性感音難聴(通常、高音域から)が初発症状であることが多く、ABRで波間潜時延長やV波消失も見られます。腫瘍が蝸牛神経を圧迫するため、めまいより難聴が先行することが典型的です。
c. ハント症候群
❌ 難聴を伴う。帯状疱疹ウイルス(VZV)による顔面神経炎で、顔面神経の膝神経節を侵襲します。膝神経節の近くを蝸牛神経が走行するため、難聴(感音難聴)とめまい(前庭障害)が同時または相前後して生じます。耳介の小水疱が特徴的です。
d. メニエール病
❌ 難聴を伴う。変動性の一側性感音難聴(初期は低音域優位)、耳鳴、耳塞感を伴う内耳疾患です。「めまい→聴覚症状」の順序で発症することが多く、繰り返す発作で難聴が進行性に悪化します。
e. 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
✅ 難聴を伴わない。半規管内の炭酸カルシウム結晶(耳石)の遊離による機械的問題で、蝸牛機能は全く障害されません。聴力は正常で、純音聴力検査も正常範囲です。
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【試験対策ポイント】
| 疾患 | めまいの性質 | 難聴の有無 | 特徴的症状 |
|---|---|---|---|
| 前庭神経炎 | 回転性(持続性) | なし | 急性発症、回転性めまい数日〜数週間 |
| 聴神経腫瘍 | 回転性(軽微) | あり(一側性) | 高音域難聴先行、進行性 |
| ハント症候群 | 回転性 | あり | 顔面神経麻痺、耳介小水疱 |
| メニエール病 | 回転性(反復) | あり(変動性) | 低音域優位、耳塞感、耳鳴 |
| BPPV | 回転性(短時間反復) | なし | 頭位変化で誘発、Dix-Hallpike陽性 |
**重要:難聴を伴わない前庭疾患は「前庭神経炎」と「BPPV」のみ**
- 聴神経腫瘍:神経圧迫のため必ず難聴(高音域優位)
- ハント症候群:膝神経節の位置が蝸牛神経近接のため難聴は必発
- メニエール病:内耳全体の浮腫により、蝸牛(低音域)も侵襲される