第17回 言語聴覚士国家試験 第134問
生涯発達心理学第17回
発達と教育との関係において教育の役割を重視するのはどれか。
a.学習準備性
b.適性処遇交互作用
c.刷り込み
d.発達の最近接領域
e.足場つくり
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d.発達の最近接領域、e.足場つくり
「教育の役割を重視する」という問題のポイントは、教育による働きかけが発達を促進する可能性を強調する理論か否かです。発達の最近接領域(ZPD)と足場つくり(スキャフォルディング)は、いずれもヴィゴツキーの理論に基づき、教育的支援が発達を引き出すことを強調する立場です。一方、学習準備性・適性処遇交互作用・刷り込みは、発達が先行する、または生物学的要因を重視する立場であり、教育の能動的役割を相対的に限定的に見なします。
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【各選択肢の解説】
a. 学習準備性
❌ 誤り。ゲゼル等の成熟説に基づく概念で、学習に適切な発達段階の到達を強調します。つまり「発達が十分に進まなければ、教育は効果がない」という発達優位の立場であり、教育の役割を限定します。
b. 適性処遇交互作用
❌ 誤り。個人の適性と教育方法の最適な組み合わせを探る考え方ですが、あくまで個人差の存在を前提とした消極的調整であり、教育による発達促進の可能性を積極的には強調しません。
c. 刷り込み
❌ 誤り。ローレンツによる動物行動学的発見で、生後の臨界期に生物学的に決定される現象です。教育の影響をほぼ受けない生得的メカニズムであり、教育の役割を最も軽視する選択肢です。
d. 発達の最近接領域(ZPD:Zone of Proximal Development)
✅ 正しい。ヴィゴツキー理論の核心で、「現在の実力では解けない課題も、大人や有能な他者の支援があれば解くことができる領域」を指します。教育的支援が発達を一段階引き上げることを強調し、教育の能動的役割を重視する立場です。
e. 足場つくり(スキャフォルディング)
✅ 正しい。ウッドらがヴィゴツキーの理論から発展させた実践的概念で、子どもが課題を達成するプロセスで段階的に支援を変調させるという教育方法論です。教育者の意図的なサポートが発達を促進することを強調し、教育の役割を最高度に重視します。
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【試験対策ポイント】
| 概念 | 理論家 | 発達観 | 教育の役割 |
|---|---|---|---|
| 学習準備性 | ゲゼル | 成熟説(発達優位) | 限定的(準備完了まで待つ) |
| 適性処遇交互作用 | クロンバック | 個人差尊重 | 調整的(最適化) |
| 刷り込み | ローレンツ | 生得的(生物学的) | ほぼ無し |
| 発達の最近接領域 | ヴィゴツキー | 社会文化的構成主義 | 能動的(引き上げ可能) |
| 足場つくり | ウッド | ヴィゴツキー発展 | 最も積極的(実践的支援) |
キーワード:
- 「教育の役割を重視」=「教育による働きかけで発達が促進される」
- ヴィゴツキー関連概念(ZPD+スキャフォルディング)が正答になりやすい
- 「成熟説」「生物学的決定」は教育の役割を限定する
- d&eの組み合わせは頻出パターン