第17回 言語聴覚士国家試験 第151問
言語聴覚障害総論第17回
高齢者にみられる変化で誤っている組合せはどれか。
- 1.嚥 下 ― 喉頭下垂
- 2.構 音 ― 子音の置換 ✓
- 3.記 憶 ― 近時記憶の低下
- 4.聴 覚 ― 語音明瞭度の低下
- 5.発 声 ― 声帯萎縮
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 構音 — 子音の置換
高齢者にみられる構音の変化は「子音の置換」ではなく、主に「子音の欠落」です。加齢に伴う舌筋萎縮や歯の喪失により、子音の産生が困難になりますが、これは音を別の音に置き換える置換ではなく、音そのものを省略する欠落として現れます。
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【各選択肢の解説】
1. 嚥下 — 喉頭下垂
✅ 正しい。加齢により咽頭筋や喉頭筋の萎縮・筋力低下が起こり、喉頭が下垂します。これにより嚥下時の喉頭閉鎖が不完全になり、誤嚥リスクが増加します。
2. 構音 — 子音の置換
❌ 誤り。高齢者の構音変化は「子音の欠落」が特徴です。舌や口唇の筋力低下、歯の喪失により、/s/音が/th/音になるといった置換ではなく、子音が発音されなくなる傾向が見られます。
3. 記憶 — 近時記憶の低下
✅ 正しい。加齢に伴う前頭葉・海馬機能の低下により、新しい情報を短期に保持・処理する近時記憶が低下します。遠隔記憶は比較的保持されます。
4. 聴覚 — 語音明瞭度の低下
✅ 正しい。加齢性難聴では高音域の聴力低下が起こり、子音の聴覚的弁別が困難になるため、語音明瞭度が低下します。
5. 発声 — 声帯萎縮
✅ 正しい。加齢により声帯の粘膜や筋肉が萎縮し、声帯の閉鎖が不完全になります。これにより嗄声や音圧低下が生じます。
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【試験対策ポイント】
高齢者にみられる主な変化の整理
| 機能 | 変化の内容 |
|---|---|
| 嚥下 | 喉頭下垂・咽頭筋萎縮→誤嚥リスク増加 |
| 構音 | 子音の「欠落」(置換ではない) |
| 記憶 | 近時記憶低下>遠隔記憶低下 |
| 聴覚 | 加齢性難聴(高音域から)→語音明瞭度低下 |
| 発声 | 声帯萎縮→嗄声・音圧低下 |
紛らわしい知識の区別
- 置換:ある音が別の音に変わること(例:/s/→/th/、発達障害の児童言語に多い)
- 欠落:音が省略されること(高齢者の構音障害に典型的)
- 歪み:音の産生方法が不正確になること(いずれもあり得る)