第17回 言語聴覚士国家試験 第152問
言語聴覚障害総論第17回
誤っている組合せはどれか。
- 1.内耳性難聴 ― 補充現象
- 2.弛緩性構音障害 ― 開鼻声
- 3.音声障害 ― ピッチの異常
- 4.注意障害 ― 抹消テストの成績低下
- 5.特異的言語発達障害 ― 言語能力のみの低下 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 特異的言語発達障害 — 言語能力のみの低下
特異的言語発達障害(SLI)は、聴力や認知能力が正常範囲であっても言語発達が遅れる障害ですが、「言語能力のみ」の低下というわけではなく、社会適応や学習全般に二次的な影響が生じることが多いため、この組合せは誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 内耳性難聴 — 補充現象
✅ 正しい。内耳性難聴(感音難聴)の代表的な特徴として補充現象(Recruitment)があります。小さい音は聞こえなくても、音量を上げると急激に大きく聞こえる現象で、外有毛細胞の機能低下が原因とされています。
2. 弛緩性構音障害 — 開鼻声
✅ 正しい。弛緩性構音障害(下位運動ニューロン障害)では軟口蓋の挙上不全により、口腔圧が維持できず鼻腔への漏気が生じます。これにより鼻音化した音が産出される開鼻声(Hyponasal speech)が特徴です。
3. 音声障害 — ピッチの異常
✅ 正しい。音声障害の主な症状にはピッチ(基本周波数)の異常が含まれます。声帯硬化や麻痺により基本周波数が上昇・低下したり、ピッチの変動性が低下したりします。
4. 注意障害 — 抹消テストの成績低下
✅ 正しい。抹消テスト(キャンセレーション課題)は、特定の文字・図形を探して消す検査で、注意機能を評価します。注意障害患者は探索漏れが増加し、成績低下を示すため妥当な組合せです。
5. 特異的言語発達障害 — 言語能力のみの低下
❌ 誤り。特異的言語発達障害(SLI)は、標準化検査により聴力や非言語性認知能力が正常範囲であると診断されます。しかし実際には、学習障害や読み書き障害を伴うことが多く、「言語能力のみの低下」という単純な定義は不正確です。また社会的・情動的な二次的影響も多く報告されています。
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【試験対策ポイント】
定義の厳密性:特異的言語発達障害(SLI)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断基準 | 聴力・認知が正常だが、言語発達が低い |
| 実際の特徴 | 読み書き困難・学習障害を伴うことが多い |
| 「のみ」に注意 | 「言語能力のみ」という表現は過度に限定的で誤り |
ST国試の紛らわしい表現:
- 「〜のみ低下」「〜のみ正常」→除外条件と実臨床の乖離に注意
- 他の選択肢は「検査名」と「所見」の対応関係がすべて妥当