第17回 言語聴覚士国家試験 第154問
失語症第17回
左後大脳動脈閉塞症でおこるのはどれか。
- 1.超皮質性運動失語
- 2.ウェルニッケ失語
- 3.伝導失語
- 4.純粋語唖
- 5.純粋失読 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 純粋失読
左後大脳動脈(PCA)閉塞は角回(angulargyrus)の血流を遮断し、視覚的文字情報の処理と言語中枢を結ぶ連絡が途絶されます。これにより読字能力が著しく障害されますが、音声言語は温存され、純粋失読(alexia without agraphia)が生じます。
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【各選択肢の解説】
1. 超皮質性運動失語
❌ 誤り。超皮質性運動失語は前大脳動脈(ACA)の領域閉塞で生じます。PCA領域ではなく、より前方の補足運動野周囲の障害によって起こります。
2. ウェルニッケ失語
❌ 誤り。ウェルニッケ失語は中大脳動脈(MCA)の領域閉塞で生じます。側頭葉上側回後方の言語理解中枢(ウェルニッケ領野)の障害が原因で、PCA閉塞では発生しません。
3. 伝導失語
❌ 誤り。伝導失語はBroca領野とWernicke領野を結ぶ弓状束(上縦束)の障害で生じます。MCA領域の障害が典型的であり、PCA閉塞の臨床像ではありません。
4. 純粋語唖
❌ 誤り。純粋語唖は言語理解が保持され、表出のみが著しく障害される症候で、通常は両側性のBroca領野前方部の障害など、より限定的な運動皮質領域の障害で生じます。PCA閉塞では起こりません。
5. 純粋失読
✅ 正しい。左PCA閉塞により角回の血流が途絶され、視覚皮質(後頭葉)から言語中枢への情報伝達が遮断されます。聴覚言語は保持されるため、読字のみが選択的に障害される典型的な症候です。
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【試験対策ポイント】
脳血管閉塞部位と失語症・言語症候の対応表
| 血管名 | 領域 | 主な症候 | 障害部位 |
|---|---|---|---|
| 左中大脳動脈(MCA) | 側頭葉・頭頂葉 | Wernicke失語、伝導失語、Broca失語 | ウェルニッケ領野、弓状束、Broca領野 |
| 左前大脳動脈(ACA) | 補足運動野周辺 | 超皮質性運動失語、純粋語唖 | 補足運動野、Broca領野外側 |
| 左後大脳動脈(PCA) | 後頭葉・角回 | 純粋失読、視野欠損 | 角回、視覚皮質 |
重要キーワード:角回の役割
- 視覚的文字情報を言語中枢へ伝達
- この経路が遮断される=読字選択的障害
- 音声言語は聴覚経路で直接言語中枢に達する=温存される
「純粋失読」と「純粋語唖」の鑑別
- 純粋失読:読字のみ障害、音声言語OK、聴理解OK
- 純粋語唖:表出のみ障害、読字OK、聴理解OK