第17回 言語聴覚士国家試験 第155問
失語症第17回
語音認知が障害されると低下するのはどれか。
a.モーラ抽出
b.純音聴力
c.環境音認知
d.音 読
e.書き取り
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
語音認知(音韻の知覚・認識)が障害されると、その音韻情報に依存する課題が低下します。モーラ抽出は音韻単位を識別する語音認知に直結し、書き取りは聞いた音を文字化する際に正確な音韻認知が必須です。一方、純音聴力・環境音認知・音読は聴覚的フォノロジーに依存しない経路で実行可能です。
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【各選択肢の解説】
a. モーラ抽出
✅ 正しい。モーラは日本語の音韻的最小単位(音拍)であり、「あ」「か」「きゃ」など個別の音を認識・抽出する課題は語音認知に完全に依存します。語音認知が低下すれば、モーラの識別・抽出も著しく困難になります。
b. 純音聴力
❌ 誤り。純音聴力は周波数特定の音を検出する末梢聴覚機能を測定するもので、中枢的な音韻認知機能とは独立しています。語音認知障害があっても聴覚閾値は正常である場合が多くあります。
c. 環境音認知
❌ 誤り。環境音(犬の鳴き声、ドアの音など)の認知は、意味的・フォノロジー的処理を要さず、音響的特徴の認識で可能です。語音認知(言語音の音韻的処理)と環境音認知は異なる神経回路で処理されます。
d. 音読
❌ 誤り。音読は視覚的文字入力→語義・音韻の統合的処理→発話という経路で実行されます。聴覚的語音認知を直接用いない課題であり、語音認知障害の影響を受けにくいです。
e. 書き取り
✅ 正しい。音を聞いて文字に変換する課題は、正確な「聞き取り(語音認知)」が前提です。語音認知が低下すれば、聞こえる音が曖昧・不正確になり、書き取りの誤答(同音異義語の誤り、音韻近似音への置き換えなど)が増加します。
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【試験対策ポイント】
| 概念 | 説明 | 語音認知障害での影響 |
|---|---|---|
| **語音認知** | 聴覚入力の音韻的処理(聞いた音が何か認識) | 直接影響を受ける課題が正答 |
| **モーラ抽出** | 「あ」「か」などの音拍を識別 | ↓著しく低下 |
| **書き取り** | 聞いた音を文字化 | ↓低下(音韻認知が必須) |
| **純音聴力** | 周波数検出(末梢機能) | 影響なし |
| **環境音認知** | 音響的特徴認識(フォノロジー不要) | 影響なし |
| **音読** | 視覚→音韻(聴覚入力不要) | 影響なし |
**紛らわしい点:**
- 「聴力」と「語音認知」は異なる概念。聴力が良好でも語音認知障害は生じる(中枢聴覚障害、言語音の音韻的処理障害)
- 「書き取り」は一見末梢聴覚に思えるが、実質的には「聞き取った音を正しく認識できるか」が合否を決定する