第17回 言語聴覚士国家試験 第181問
臨床神経学第17回
誤っている組合せはどれか。
- 1.舞踏病 ― 声の大きさの変動
- 2.脊髄小脳変性症 ― 断綴性発話
- 3.筋萎縮性側索硬化症 ― 発話の加速 ✓
- 4.パーキンソン症候群 ― 同語反復
- 5.ギラン・バレー症候群 ― 気息性嗄声
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 筋萎縮性側索硬化症 ― 発話の加速
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は弛緩性と痙性の両方の特徴を持つ混合性構音障害を示し、加速現象は認められません。加速現象(発話速度の不随意加速)はパーキンソン症候群に特徴的な症状です。
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【各選択肢の解説】
1. 舞踏病 ― 声の大きさの変動
✅ 正しい。舞踏病は大脳基底核(特に線条体)の障害により、不随意運動が全身に起こります。音声も例外ではなく、声の大きさが不規則に変動する特徴があります。
2. 脊髄小脳変性症 ― 断綴性発話
✅ 正しい。脊髄小脳変性症では小脳が障害されるため、運動の調整機能が失われ、発話時に音節ごとに不規則な休止が入る断綴性発話(スキャニングスピーチ)が出現します。
3. 筋萎縮性側索硬化症 ― 発話の加速
❌ 誤り。ALSは下位運動ニューロン(弛緩性成分)と上位運動ニューロン(痙性成分)の両者が障害される混合性構音障害です。特徴は努力性嗄声・開鼻声・音韻的歪みであり、加速現象は認められません。加速現象(パリキネジア)はパーキンソン症候群に特有です。
4. パーキンソン症候群 ― 同語反復
✅ 正しい。パーキンソン症候群では大脳基底核(特に黒質線条体系)が障害され、同語反復(同じ言葉を繰り返す)、加速現象、単調な発話など多くの音声言語症状が出現します。
5. ギラン・バレー症候群 ― 気息性嗄声
✅ 正しい。ギラン・バレー症候群は末梢神経の脱髄により下位運動ニューロン障害を起こし、迷走神経支配下の咽頭喉頭筋が弱化します。弛緩性麻痺のため気息性嗄声(声が息っぽい)が出現します。
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【試験対策ポイント】
運動障害性構音障害(Mayo分類)と音声特徴
| 障害部位 | 疾患例 | 流暢性 | 主な音声特徴 |
|---|---|---|---|
| 小脳 | 脊髄小脳変性症 | 低下 | 断綴性発話・スキャニング |
| 錐体路(両側) | ALS(痙性成分) | 低下 | 努力性嗄声 |
| 大脳基底核 | パーキンソン症候群 | 低下 | 加速現象・単調・同語反復 |
| 末梢神経 | ギラン・バレー症候群 | 低下 | 気息性嗄声・開鼻声 |
| 脳幹(黒質外側) | 舞踏病 | 低下 | 声の大きさ変動・音韻的歪み |
重要な区別:
- 加速現象(パリキネジア)=パーキンソン症候群のみ
- ALSは混合性:弛緩性(気息性)+痙性(努力性)の両特徴を持つが、加速現象は無い
- 断綴性発話=小脳障害(ALS、ギラン・バレーではない)