STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第192問

小児聴覚障害第17回
聴覚障害乳児の養育者へのコミュニケーション指導の項目で適切でないのはどれか。
  1. 1.アイコンタクト
  2. 2.豊かな感情表現
  3. 3.正確な発音の模倣への促し ✓
  4. 4.共感的コミュニケーション
  5. 5.発声意図の受容

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 正確な発音の模倣への促し 聴覚障害乳児期の養育者指導は、子どもの言語・コミュニケーション発達を支援するための「関係構築」に焦点を当てるべきです。正確な発音の模倣を強く促すことは、乳児にストレスを与え、コミュニケーションへの動機づけを低下させてしまうため、この段階では不適切です。むしろ、子どもの発声や身振りといった全てのコミュニケーション試行を受容し、相互作用の土台を作ることが重要です。 --- 【各選択肢の解説】 1. アイコンタクト ✅ 正しい。視覚情報が聴覚補償の主軸となるため、顔を合わせ、相手の表情・口型・身振りを認識させることは、乳児段階での基本的な指導項目です。視線の共有は共同注意の基盤となります。 2. 豊かな感情表現 ✅ 正しい。顔・身体・表情を用いた大げさなコミュニケーションは、聴覚障害児の視覚的学習を促進し、親子間の相互作用を深めます。感情的な結びつきが後の言語獲得を促進します。 3. 正確な発音の模倣への促し ❌ 誤り。乳児期は、正確性よりも「コミュニケーション意欲の育成」が優先です。発音正確さへの執着は、子どもの発声動機を減少させ、親子間の相互作用を阻害します。補聴器装用後、または幼児期に発音練習は段階的に導入されるべきです。 4. 共感的コミュニケーション ✅ 正しい。子どもの試みや発声を受け入れ、応答的な関わりをすることで、安全基地としての親役割が確立され、その後のコミュニケーション発達につながります。 5. 発声意図の受容 ✅ 正しい。子どもが示す全ての発声・身振り・指差しなどの意思表示を受け入れ、「あなたの気持ちを分かろうとしている」というメッセージを伝えることで、コミュニケーション願望が育ちます。 --- 【試験対策ポイント】 聴覚障害乳児の段階別指導方針: | 段階 | 主要目標 | 指導内容 | 誤りやすい選択肢 | |---|---|---|---| | **乳児期(0~3歳前半)** | コミュニケーション基盤構築 | 相互作用、視覚活用、発声受容 | 「正確な発音訓練」は不適切 | | **幼児期(3~6歳)** | 語彙拡大・文法導入 | 手話導入、補聴器適合、発音練習開始 | — | | **学童期** | 読み書き・学習言語 | 教科学習、発音精密化 | — | 重要視点:「発音正確性の追求」は発達段階に合わないときは長期的に有害 キーフレーズ: - 「受容的・応答的関わり」> 「矯正的関わり」(乳児期) - 視覚情報活用(アイコンタクト、フェイシャルエクスプレッション) - 親子相互作用の質(共感・被受容感)が言語獲得を促進
関連

▶ 第17回 全問一覧

▶ 小児聴覚障害 の過去問一覧