STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第20問

呼吸系第17回
正しいのはどれか・
  1. 1.裏声発声時には声帯の厚みが増す。
  2. 2.吸気発声時には仮声帯は外転する。 ✓
  3. 3.高音発声時には声帯長さは短縮する。
  4. 4.地声発声時には甲状披裂筋は弛緩する。
  5. 5.持続発声時には横隔膜は徐々に下降する。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 吸気発声時には仮声帯は外転する。 吸気発声は通常の呼気発声と異なり、吸気流を利用して音声を産生します。この時、仮声帯は外転(開大)して呼気流の通路を確保しながら、真声帯が振動して音源を形成します。吸気発声時の仮声帯外転は、気流制御と音声産生の効率を高めるための生理的適応です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 裏声発声時には声帯の厚みが増す。 ❌ 誤り。裏声(ファルセット)発声時には、声帯は引き伸ばされて薄くなり、硬くなります。甲状披裂筋が弛緩し、輪状甲状筋が収縮することで声帯は逆に薄く伸展された状態になり、厚みは減少します。 2. 吸気発声時には仮声帯は外転する。 ✅ 正しい。吸気発声では吸気流を利用して音声を産生するため、吸気の通路を確保する必要があります。そのため仮声帯は外転(開大)し、真声帯の振動による音源形成を助ける役割を果たします。 3. 高音発声時には声帯長さは短縮する。 ❌ 誤り。高音発声時には声帯は逆に引き伸ばされて長くなります。輪状甲状筋が強く収縮することで甲状軟骨を前下方に傾斜させ、声帯を伸展させます。声帯長が長いほど振動周波数は高くなります。 4. 地声発声時には甲状披裂筋は弛緩する。 ❌ 誤り。地声(チェストボイス)発声時には、甲状披裂筋が収縮して声帯を内転・短縮させます。この筋収縮により、声帯は厚く短い状態になり、低い周波数の音声が産生されます。 5. 持続発声時には横隔膜は徐々に下降する。 ❌ 誤り。持続発声時には、横隔膜は収縮したまま上昇傾向を示します。呼気が進むにつれ、肺容量が減少していくため、横隔膜は徐々に上昇する(拡張する)ことで肺内圧を一定に保ち、発声を維持します。 --- 【試験対策ポイント】 発声様式による声帯・喉頭筋の変化 | 発声様式 | 甲状披裂筋 | 輪状甲状筋 | 声帯厚さ | 声帯長 | 音声特性 | |---|---|---|---|---|---| | 地声 | 収縮 | 弛緩 | 厚い | 短い | 低音・強い | | 裏声 | 弛緩 | 収縮 | 薄い | 長い | 高音・弱い | | 吸気発声 | 状況依存 | 状況依存 | 変動 | 変動 | 吸気流利用 | 呼吸筋と発声の関係 | 段階 | 横隔膜状態 | 肺容量 | 呼気流 | |---|---|---|---| | 発声開始 | 収縮(下降)位置 | 最大吸気後 | 最大 | | 発声中盤 | 上昇開始 | 徐々に減少 | 減少 | | 発声終盤 | 上昇継続 | さらに減少 | さらに減少 | 頻出の「○○時には△△は~する」という問題形式での誤答パターン ・「引き伸ばされる」を「短縮」と逆読み ・「弛緩」と「収縮」の対立概念の取り違え ・吸気発声の仮声
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