STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第4問

解剖学第17回
誤っているのはどれか。
  1. 1.平滑筋の運動は随意である。 ✓
  2. 2.髄鞘によって跳躍伝導が生じる。
  3. 3.アクチンとミオシンが滑りあって筋張力を生じる。
  4. 4.神経の活動電位は全か無か(all or none)の性質を持つ。
  5. 5.筋収縮のエネルギーはATPの分解による。

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 平滑筋の運動は随意である。 平滑筋は不随意筋であり、自分の意思でコントロールできません。平滑筋は消化管・血管・気管支などの臓器に存在し、自律神経(交感神経・副交感神経)による自動的な制御を受けます。これに対して骨格筋は随意筋です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 平滑筋の運動は随意である。 ❌ 誤り。平滑筋は不随意筋です。骨格筋のように自分の意思で動かすことはできず、自律神経の支配下で自動的に収縮します。消化管蠕動や血管収縮など、意識に関わらず働きます。 2. 髄鞘によって跳躍伝導が生じる。 ✅ 正しい。髄鞘(ミエリン鞘)は神経線維を絶縁体として包み、活動電位がランビエ絞輪間を跳躍的に伝導(跳躍伝導)することで、伝導速度を速める仕組みです。髄鞘のない無髄神経線維では連続伝導により伝導速度が遅くなります。 3. アクチンとミオシンが滑りあって筋張力を生じる。 ✅ 正しい。これは筋収縮の滑り説(sliding filament theory)です。ミオシンの頭部(crossbridge)がアクチン分子を引っ張り、相互の位置関係を変える(相対的な滑り)ことで筋張力が生じます。筋の長さは変わらなくても張力が生じる等尺性収縮もこの機序です。 4. 神経の活動電位は全か無か(all or none)の性質を持つ。 ✅ 正しい。神経線維が一定閾値を超える刺激を受けると、その大きさに関わらず最大の活動電位が発生します。閾値以下の刺激では活動電位は生じません。これが全か無かの法則です。 5. 筋収縮のエネルギーはATPの分解による。 ✅ 正しい。ATPがADPとリン酸に分解される際に放出されるエネルギーが筋収縮に使われます。このエネルギーはミオシン頭部の動きを支えるため(crossbridge cycle)および筋小胞体へのカルシウムポンプに必要です。 --- 【試験対策ポイント】 筋組織と神経伝導の基本区分: | 項目 | 骨格筋 | 平滑筋 | 心筋 | |---|---|---|---| | 運動制御 | **随意** | 不随意 | 不随意 | | 神経支配 | 体性神経 | 自律神経 | 自律神経 | | 場所 | 骨格 | 血管・消化管 | 心臓 | | 収縮速度 | 速い | 遅い | 中程度 | 跳躍伝導と伝導速度: - 有髄神経:跳躍伝導→伝導速度 50~100 m/s - 無髄神経:連続伝導→伝導速度 0.5~2 m/s 活動電位の全か無かの法則: - 刺激が閾値に達するか否かだけが重要 - 刺激の大きさが閾値を超えていれば、どれだけ大きくても活動電位の大きさは変わらない 筋収縮の3大エネルギー源: - ATP直接供給(瞬間的) - クレアチンリン酸(CP)からのATP再生(短時間) - 代謝(ATP産生・持続的)
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