第17回 言語聴覚士国家試験 第52問
心理測定法第17回
正しいのはどれか。
- 1.質的評価より量的評価の方が客観性が高い。
- 2.名義尺度のデータに適用できる統計的仮説検定法がある。 ✓
- 3.言語聴覚療法の評価で取り扱われるデータの多くは比率尺度である。
- 4.検査の標準化は後ろ向き(後方視的)研究によってなされる。
- 5.評価対象の機能回復がプラトーに達することを天井効果という。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 名義尺度のデータに適用できる統計的仪説検定法がある。
名義尺度(カテゴリーデータ)に対しても、カイ二乗検定などの非パラメトリック検定法を適用することが可能です。統計的検定は順序尺度以上に限定されるものではなく、名義尺度でも度数分布を用いた検定が実施できます。
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【各選択肢の解説】
1. 質的評価より量的評価の方が客観性が高い。
❌ 誤り。質的評価と量的評価は「客観性の高低」ではなく「目的や評価方法の異なるアプローチ」です。量的評価は数値化により再現性が高い傾向にありますが、客観性そのものは両者で相互補完的な関係にあり、優劣の関係ではありません。
2. 名義尺度のデータに適用できる統計的仪説検定法がある。
✅ 正しい。名義尺度データ(例:改善/不改善、言語障害あり/なし)に対してはカイ二乗検定やフィッシャーの正確確率検定などの非パラメトリック検定が適用できます。これらは度数データの独立性や関連性を検定します。
3. 言語聴覚療法の評価で取り扱われるデータの多くは比率尺度である。
❌ 誤り。言語聴覚療法の評価データの大部分は順序尺度(検査スコア、重症度分類、FIM)や名義尺度(診断カテゴリー)です。比率尺度(絶対零点を持つ)は音圧レベル(dB)や音声基本周波数(Hz)など限定的にしか用いられません。
4. 検査の標準化は後ろ向き(後方視的)研究によってなされる。
❌ 誤り。検査の標準化は前向き(前方視的)研究によってなされます。標準化は多数の対象者を予め設定した基準に基づいて前向きに検査し、規準尺度を作成するプロセスです。後ろ向き研究は既存データの分析であり標準化には適しません。
5. 評価対象の機能回復がプラトーに達することを天井効果という。
❌ 誤り。これはプラトー効果(プラトー現象)の説明です。天井効果(ceiling effect)は「検査の上限値に達して、それ以上の得点差が測定できなくなる状態」を指します。床効果の対概念であり、測定の感度が失われる検査的問題を示しています。
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【試験対策ポイント】
**統計検定と尺度水準の対応関係**
| 尺度水準 | 特徴 | 適用可能な検定 | 実例 |
|---|---|---|---|
| 名義尺度 | カテゴリー(順序なし) | カイ二乗検定、フィッシャー正確確率検定 | 診断有無、性別 |
| 順序尺度 | カテゴリー(順序あり) | Wilcoxon、Mann-Whitney、Spearman | FIM、重症度 |
| 間隔尺度 | 等間隔だが零点恣意的 | t検定、ANOVA、Pearson相関 | 気温、標準化スコア |
| 比率尺度 | 等間隔+絶対零点 | パラメトリック検定全般 | 周波数、dB SPL |
**検査の標準化 vs 後ろ向き研究の区別**
・標準化:「前向き」大規模対象者の検査データから規準尺度を作成
・後ろ向き研究:既存医療記録の分析(因果関係検討に用いる観察研究)
**ST領域で用いられるデータの実態**
・定量的スコ