STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第57問

失語症第17回
発語失行の特徴でないのはどれか。
  1. 1.構音運動の探求
  2. 2.イントネーションの平板化
  3. 3.気息性嗄声 ✓
  4. 4.努力性の発話
  5. 5.発話速度の低下

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 気息性嗄声 気息性嗄声は音声障害(特に弛緩性構音障害や声帯麻痺など)の特徴であり、発語失行(失行性構音障害)の特徴ではありません。発語失行は運動企画・プログラミングの障害であり、音声そのものの質的障害ではなく、構音運動の制御困難に特徴があります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 構音運動の探求 ✅ 正しい。発語失行の典型的な特徴です。患者は目的音を産生するために、試行錯誤的に構音位置・運動を探索する行動が見られます。これを「構音運動の探求(articulatory groping)」または「音探索」と呼びます。 2. イントネーションの平板化 ✅ 正しい。発語失行では、運動企画障害のため音韻的プロソディ(イントネーション・アクセント)の制御が困難になり、言葉が平板で抑揚に乏しくなります。これは機械的で単調な印象を与えます。 3. 気息性嗄声 ❌ 誤り。気息性嗄声は音声障害(声帯の不完全閉鎖など)の特徴です。発語失行は音声の質的障害ではなく、運動の企画・実行障害であるため、音声は通常正常です。声がかすれるのではなく、正しい構音位置に到達する過程での困難が問題になります。 4. 努力性の発話 ✅ 正しい。発語失行患者は正しい音を産生するために多くの努力と意識的な制御が必要であり、発話に著しい努力が観察されます。緊張感に満ちた、不自然な発話パターンになることが典型的です。 5. 発話速度の低下 ✅ 正しい。構音運動の企画が困難なため、患者は意識的に発話速度を落とし、各音節ごとに工夫しながら発話します。「ゆっくり、丁寧に話そう」とする傾向が見られます。 --- 【試験対策ポイント】 発語失行 vs 構音障害の鑑別表 | 特徴 | 発語失行 | 構音障害(例:弛緩性) | |---|---|---| | 音声の質 | 正常(嗄声なし) | 気息性嗄声・開鼻声など | | 病態の本質 | 運動企画障害 | 筋力低下・痙縮など | | 構音運動の探求 | あり(典型) | なし | | プロソディ | 平板化・単調 | 比較的保たれることもある | | 努力性 | 著しく高い | 疲労性 | | 反復唾液嚥下運動 | 通常正常 | 低下することが多い | | 咽頭反射 | 通常正常 | 低下することが多い | 頻出:発語失行と失語症の合併例が多く、混同しやすい。失語症は「言語象徴の障害」、発語失行は「音運動の企画障害」と区別することが重要。
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