第17回 言語聴覚士国家試験 第59問
失語症第17回
純粋語聾について正しいのはどれか。
- 1.一側性脳病変では生じない。
- 2.動物の鳴き声が区別できない。
- 3.書き取り検査で成績低下を示す。 ✓
- 4.聴性脳幹反応(ABR)にて異常を示す。
- 5.純音聴力検査で大幅な閾値上昇を示す。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 書き取り検査で成績低下を示す。
純粋語聾は、聴覚野(上側頭葉)の両側性病変により、言語音(単語)の識別能力が失われる皮質性聴覚障害です。聴覚そのものは正常で、音声言語の理解が障害されるため、音声言語を文字言語(書き取り)に変換する際に、音を理解できない分、成績が低下します。これは失語症と異なり、聴覚末梢や脳幹経路には障害がありません。
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【各選択肢の解説】
1. 一側性脳病変では生じない。
✅ 正しい。純粋語聾は聴覚野(Heschl回転、上側頭葉)の両側性病変で初めて生じます。一側性損傷では、反対側の聴覚野が代償するため、言語音識別能は保たれます。
2. 動物の鳴き声が区別できない。
❌ 誤り。純粋語聾は言語音(単語など意味のある音)の識別が特異的に障害される症候です。言語性でない音(動物の鳴き声、機械音、环境音など)の識別は保たれています。これが他の聴覚障害との重要な鑑別点です。
3. 書き取り検査で成績低下を示す。
✅ 正しい。音声言語を理解できないため、聞き取った音を正確に文字に変換することができず、成績が低下します。「聞き取れない」→「書き取れない」という因果関係が明確に示されます。
4. 聴性脳幹反応(ABR)にて異常を示す。
❌ 誤り。ABRは脳幹レベルの聴覚伝導路の完全性を評価する検査です。純粋語聾は皮質レベル(聴覚野)の障害であり、脳幹以下の経路は正常であるため、ABRは正常値を示します。
5. 純音聴力検査で大幅な閾値上昇を示す。
❌ 誤り。純粋語聾は中枢性聴覚障害であり、末梢聴覚器官(内耳、聴神経、脳幹)には障害がありません。したがって純音聴力検査(気導・骨導)は正常範囲内です。これが感音難聴との重要な鑑別点です。
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【試験対策ポイント】
皮質性聴覚障害の分類と特徴
| 症候 | 聴覚野の病変部位 | 言語音識別 | 非言語音識別 | 聴力検査 | ABR |
|---|---|---|---|---|---|
| 純粋語聾 | 両側上側頭葉(Heschl) | 著しく不良 | 正常 | 正常 | 正常 |
| 皮質性難聴 | 両側聴覚野(広範) | 不良 | 不良 | 正常 | 正常 |
重要な否定知識
- 「一側性で生じない」→両側損傷が必須条件
- 「動物の鳴き声は区別できる」→非言語性聴覚刺激は識別可能
- 「ABRは正常」「聴力検査も正常」→脳幹以下は異常なし
- 「書き取り検査で低下」→音声言語理解障害を反映する評価法
臨床診断アルゴリズム
1. 聴こえるか(自覚症状)
2. 聴力検査の結果(気導・骨導)
3. 言語音と非言語音の識別の差
4. ABRの所見(脳幹経路の完全性確認)
→これらの組み合わせで「皮質性」を確定する