STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第61問

失語症第17回
小児失語について誤っているのはどれか。
  1. 1.成人に比べて非左半球損傷が多い。
  2. 2.てんかんを伴う一過性の失語症がある。
  3. 3.就学後に読み書き障害を起こすことが多い。
  4. 4.原因疾患は脳血管障害が最も多い。 ✓
  5. 5.成人と同様の失語症タイプがみられる。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 原因疾患は脳血管障害が最も多い。 小児失語症の最大の原因は脳血管障害ではなく「脳炎・脳症」です。成人失語症では脳卒中(脳血管障害)が圧倒的多数派ですが、小児では感染症や代謝異常に伴う脳炎・脳症が大部分を占めるため、この選択肢は誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 成人に比べて非左半球損傷が多い。 ✅ 正しい。小児の脳は可塑性が高く、左半球損傷であっても右半球の代償によって右半球損傷例が相対的に増加する傾向がみられます。成人では左半球優位がほぼ確実ですが、小児では言語機能の側性化が固定していないため、このような特徴が認められます。 2. てんかんを伴う一過性の失語症がある。 ✅ 正しい。小児特有の「てんかん関連一過性失語症」(ESES:Epilepsy and Electrographic Status Epilepticus during Slow Sleep)やその他てんかん性脳炎によって、可逆的な失語症が生じることがあります。成人では稀な現象です。 3. 就学後に読み書き障害を起こすことが多い。 ✅ 正しい。小児失語症では、年齢段階によって顕在化する症状が異なります。就学後に読み書き能力の発達が期待される時期に、その発達の遅滞や障害(獲得失読・失書)が明らかになることが多くあります。 4. 原因疾患は脳血管障害が最も多い。 ❌ 誤り。小児失語症の最大原因は脳炎・脳症(感染症性、代謝性、免疫性など)です。脳血管障害は小児失語症の原因としては比較的稀であり、これは成人失語症との最大の相違点です。 5. 成人と同様の失語症タイプがみられる。 ✅ 正しい。Broca失語、Wernicke失語、伝導失語など、古典的な失語症分類は小児にも適用可能です。ただし、小児の可塑性が高いため、典型的な失語症像より不完全な形で表現されることが多いという特徴があります。 --- 【試験対策ポイント】 成人失語症 vs 小児失語症の重要な相違点 | 項目 | 成人失語症 | 小児失語症 | |---|---|---| | **最大原因** | 脳血管障害(脳卒中) | 脳炎・脳症 | | **半球側性化** | 左半球ほぼ100% | 可塑性高く・右半球損傷も多い | | **典型的失語症タイプ** | 明確に分類可能 | 典型を示さず不完全なことが多い | | **一過性失語** | 稀 | てんかん関連で時々みられる | | **読み書き障害** | 不変的 | 就学期に新たに顕在化することが多い | 小児失語症を見たら「原因は脳炎・脳症!」と即座に連想することが正答率を大幅に上げます。
関連

▶ 第17回 全問一覧

▶ 失語症 の過去問一覧