第17回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第17回
右大脳半球病変で生じるのはどれか。
a.肢節運動失行
b.観念運動性失行
c.観念性失行
d.拮抗失行
e.着衣失行
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
右大脳半球(非優位半球)病変では、空間的・視覚的情報処理の障害に基づく失行が生じます。肢節運動失行は個別の手指動作の不正確さ、着衣失行は衣服と身体の空間関係認識障害によるもので、いずれも右半球損傷で顕著に現れます。一方、b~dの観念運動性失行・観念性失行・拮抗失行は、左大脳半球(優位半球)の言語優位領域や運動性言語野の損傷で生じます。
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【各選択肢の解説】
a. 肢節運動失行
✅ 正しい。右大脳半球病変で生じます。個別の指や手の細かい動作(つまむ、指立てなど)の不正確さ・ぎこちなさが特徴で、空間的・運動学習的な障害に基づきます。左優位半球損傷でも出現しますが、右半球病変でも顕著です。
b. 観念運動性失行
❌ 誤り。左大脳半球(優位半球)の前頭葉病変で生じます。観念(行為の考え・意図)から運動プログラムへの変換過程の障害で、物品の使用不適切(例:鍵を耳に持っていく)が特徴です。右半球病変では出現しません。
c. 観念性失行
❌ 誤り。左大脳半球(優位半球)、特に頭頂葉病変で生じます。複数動作の系列から構成される行為の障害(例:手紙を書いて封筒に入れるという一連の行為が崩壊)で、左半球の言語・運動プログラム領域の損傷が原因です。
d. 拮抗失行
❌ 誤り。左大脳半球(優位半球)の前頭葉病変で生じます。意図と矛盾する動作が自動的に起こる現象(例:医師が「握ってください」と言うと、反射的に握るが、患者自身は握るつもりがない)で、左半球の運動制御障害を反映します。
e. 着衣失行
✅ 正しい。右大脳半球(非優位半球)病変で生じます。衣服の手足の通す順序や、衣服と身体の空間関係を認識できない失行で、視覚・空間認識障害に基づきます。右半球の視空間処理能力の低下が原因です。
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【試験対策ポイント】
失行の分類と責任病巣:
| 失行の種類 | 責任病巣 | 特徴 |
|---|---|---|
| **肢節運動失行** | 両半球可(左優位) | 個別手指動作の不正確さ |
| **観念運動性失行** | 左前頭葉 | 物品使用の不適切性 |
| **観念性失行** | 左頭頂葉 | 複数動作系列の崩壊 |
| **拮抗失行** | 左前頭葉 | 意図と矛盾する動作 |
| **着衣失行** | 右頭頂葉 | 衣服と身体の空間関係不認識 |
左大脳半球(優位半球)病変:観念運動性・観念性・拮抗失行
右大脳半球(非優位半球)病変:肢節運動失行・着衣失行
重要な区別:
- 「観念」が付く失行(観念運動性・観念性)→左半球
- 「空間」「視覚」に関わる失行(着衣失行)→右半球
- 肢節運動失行は両半球損傷でも出現するが、本問では右半球病変に含める