第17回 言語聴覚士国家試験 第64問
臨床神経学第17回
レビー小体認知症でみられないのはどれか。
- 1.健 忘
- 2.幻 視
- 3.麻 痺 ✓
- 4.構音障害
- 5.歩行障害
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 麻 痺
レビー小体認知症は、α-シヌクレインの沈着により大脳皮質全域が障害される神経変性疾患です。認知機能低下・幻視・姿勢反射障害などが特徴ですが、局所的な脳梗塞や脳卒中と異なり、一側性の麻痺(片麻痺など)は典型的にはみられません。
---
【各選択肢の解説】
1. 健 忘
✅ 正しい。レビー小体認知症の初期症状として認知機能低下が顕著です。特に注意機能が低下し、物忘れが多くなります。
2. 幻 視
✅ 正しい。レビー小体認知症の特徴的症状であり、診断基準の中核症状に含まれます。動物や人物などを見ると信じ込む幻視が認められ、患者が強く実在すると信じているため対応に注意が必要です。
3. 麻 痺
❌ 誤り。一側性の麻痺(片麻痺など)はレビー小体認知症では典型的にはみられません。麻痺は脳卒中やアルツハイマー病の脳萎縮の局所化など、異なる神経疾患の特徴です。
4. 構音障害
✅ 正しい。レビー小体認知症では小脳や脳幹の障害による運動失調性構音障害(スキャニングスピーチ)が生じることがあります。また進行に伴い球麻痺様症状も出現する可能性があります。
5. 歩行障害
✅ 正しい。レビー小体認知症の主要な臨床症状の一つであり、小刻み歩行や前傾姿勢、姿勢反射障害などが認められます。パーキンソン病類似の運動症状を示すため転倒リスクが高くなります。
---
【試験対策ポイント】
レビー小体認知症の臨床症状一覧:
| 症状 | 特徴 | 出現率 |
|---|---|---|
| 認知機能低下 | 注意・実行機能が顕著 | 必須 |
| 幻視 | 動物・人物が実在すると信じる | 70~80% |
| 運動症状 | 筋硬直・小刻み歩行・姿勢反射障害 | 高い |
| 構音障害 | 運動失調性 | あり |
| 歩行障害 | パーキンソン病類似 | 高い |
| 麻痺(片麻痺) | 一側性脳局所損傷は特徴的でない | **ない** |
主要な鑑別点:
- アルツハイマー病:麻痺なし、幻視少ない
- パーキンソン病:幻視・認知機能低下の後発、動作緩慢が主
- 脳血管性認知症:一側性麻痺が特徴的にみられる(レビーではない)
この問題は「みられない症状」を選ぶ点に注意。レビー小体認知症は脳全体の変性のため、脳卒中のような局所神経徴候(麻痺)を示さないことが鍵です。