第17回 言語聴覚士国家試験 第65問
言語発達障害学第17回
誤っている組合せはどれか。
a.自閉症スペクトラム障害 ― 中枢性統合の弱さ
b.ウィリアムス症候群 ― 言語性短期記憶の障害
c.特異的言語発達障害 ― 対人関係の障害
d.ダウン症 ― 音韻認識の発達の遅れ
e.脳性麻痺 ― 構音不明瞭
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c の組合せが誤っている
この問題は、発達障害と各々の特徴的な障害を正しく対応させる知識を問うています。各障害の本質的な特徴を理解することが重要です。
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【各選択肢の解説】
a. 自閉症スペクトラム障害 — 中枢性統合の弱さ
✅ 正しい。Baron-Cohenが提唱した「弱い中枢統合理論」により、自閉症スペクトラム障害の本質的特徴として説明されます。部分への過集中があり、全体的な統合が困難という特徴が言語使用の柔軟性の低下にもつながります。
b. ウィリアムス症候群 — 言語性短期記憶の障害
❌ 誤り。ウィリアムス症候群の特徴は「言語能力の相対的保持」です。むしろ言語性短期記憶は比較的良好で、視覚空間認知や数学的能力が著しく低下します。言語とIQ全体の不一致が特徴です。
c. 特異的言語発達障害(SLI) — 対人関係の障害
❌ 誤り。特異的言語発達障害は「言語系統のみの発達遅滞」であり、対人関係や社会的相互作用は通常保持されています。対人関係の障害は自閉症スペクトラム障害の特徴であり、SLIとは区別されます。
d. ダウン症 — 音韻認識の発達の遅れ
✅ 正しい。ダウン症では音韻認識や音韻的処理能力の発達が顕著に遅れることが多く、音韻的短期記憶の低下も特徴です。これが音韻認識関連の学習困難につながります。
e. 脳性麻痺 — 構音不明瞭
✅ 正しい。脳性麻痺は運動制御の障害により、構音器官の動きが制限されるため、運動障害性構音障害が生じ、構音不明瞭が典型的な特徴です。
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【試験対策ポイント】
各発達障害の中核的特徴(本質的障害と随伴的特徴の区別)
| 障害名 | 本質的障害 | 言語の特徴 |
|---|---|---|
| 自閉症スペクトラム障害 | 社会的相互作用・中枢性統合の弱さ | 話題の一貫性↓・柔軟性↓ |
| ウィリアムス症候群 | 視覚空間認知・数学的能力↓ | 言語は相対的保持(むしろ言葉数多い傾向) |
| 特異的言語発達障害(SLI) | 言語系統のみの遅滞 | 認知・対人関係は年齢相応 |
| ダウン症 | 知的発達の全般的遅滞 | 音韻処理↓・音韻認識↓ |
| 脳性麻痺 | 運動制御障害 | 構音不明瞭・四肢体幹の協調不全 |
重要否定知識:
- ウィリアムス症候群は「言語能力が高い」わけではなく、「知的能力低下の中では言語が相対的に保持される」
- 特異的言語発達障害は「社会性や対人関係は障害されない」ことが診断基準の重要部分
- 音韻認識低下は知的障害全般に見られやすい特徴(ダウン症も例外ではない)