STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第17回 言語聴覚士国家試験 第77問

音声障害第17回
一側性反回神経麻痺による嗄声に対して有効な音声治療はどれか。
  1. 1.吸気性発声
  2. 2.軟起声発声
  3. 3.プッシング法 ✓
  4. 4.ブローイング法
  5. 5.あくび・ため息法

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — プッシング法 一側性反回神経麻痺では、健側の声帯が正中寄りに位置していても声帯間に隙間が残り、呼気が漏れる(気息性嗄声)。プッシング法は両側声帯の内転力を高めることで、隙間を埋めて音声改善を得る最も有効な方法です。声帯接触面積を増やし、基本周波数の上昇と嗄声の改善に直結します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 吸気性発声 ❌ 誤り。吸気時の発声は気流利用の観点で非効率です。反回神経麻痺では呼気流の漏れが問題であり、吸気を利用することは音声改善には寄与しません。むしろ標準的な呼気発声が前提です。 2. 軟起声発声 ❌ 誤り。軟起声は音声開始時の声帯接触力を弱くする方法で、むしろ接触圧を減らす結果になります。一側性反回神経麻痺では接触圧を高める必要があるため、効果がありません。 3. プッシング法 ✅ 正しい。上肢や下肢の筋肉を用いて腹圧を高め、全身の筋緊張を上げることで、声帯の内転力を増加させます。声帯間隙を埋める直接的なメカニズムで、気息性嗄声を最小化します。一側性反回神経麻痺の標準的音声治療法です。 4. ブローイング法 ❌ 誤り。ブローイング(呼気流増加)は隙間からの漏れをさらに増やすリスクがあり、嗄声改善には逆効果です。むしろ呼気流の効率的利用が求められる状況では不適切です。 5. あくび・ため息法 ❌ 誤り。あくび・ため息は声帯緊張を緩和し、リラックス効果を狙うものです。一側性反回神経麻痺では声帯内転を促進する必要があるため、リラクセーション法は方向が逆向きになります。 --- 【試験対策ポイント】 音声治療法の選択基準(反回神経麻痺の場合) | 治療法 | 目的 | 有効な病態 | 反回神経麻痺との適合性 | |---|---|---|---| | プッシング法 | 声帯内転力↑ | 声帯接触不全 | ✅ 有効 | | ブローイング法 | 呼気流↑ | 声帯不全閉鎖(気息漏れ) | ❌ 悪化リスク | | あくび・ため息法 | 声帯緊張↓ | 音声緊張性(過緊張) | ❌ 適さない | | 軟起声発声 | 接触圧↓ | 音声酷使 | ❌ 適さない | | 吸気性発声 | 呼気効率化 | 呼気流制御困難 | ❌ 標準的でない | **関連知識** - 一側性反回神経麻痺:気息性嗄声が主症状(声帯内転不全による気流漏れ) - 両側性反回神経麻痺:呼吸困難が主問題(音声より気道管理が優先) - 声帯接触面積増加 → 基本周波数↑・気息性成分↓ → 嗄声改善の直接メカニズム
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