第17回 言語聴覚士国家試験 第79問
音声障害第17回
発話速度を遅くする訓練法はどれか。
a.アクセント法
b.チューイング法
c.フレージング法
d.モーラ指折り法
e.メンタルリハーサル法
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
発話速度を遅くする訓練法はフレージング法(文を複数の意味的なまとまりに分割して、その間にポーズ(休止)を入れることで、結果的に発話速度が低下する)とモーラ指折り法(1モーラごとに指を折りながら発話することで、自動的に発話速度が低下する)です。これらは発話速度の低減を直接的な目標とした訓練法です。
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【各選択肢の解説】
a. アクセント法
❌ 誤り。文や句のアクセント位置を強調して発話する訓練で、韻律改善やリズム感の向上が目的です。発話速度の制御は主目的ではありません。パーキンソン病などの運動低下性構音障害による低速度・単調な音声改善には有効ですが、「発話速度を遅くする」という指令には直接関係しません。
b. チューイング法
❌ 誤り。咀嚼運動を模して発話する訓練で、弛緩性構音障害(球麻痺など)における器官の可動性・筋力向上が主目的です。発話速度を遅くするのではなく、むしろ正常な構音を目指す訓練であり、速度低減は副次的な効果に過ぎません。
c. フレージング法
✅ 正しい。文を意味的な句単位に分割し、各句の間に明確なポーズ(休止)を置いて発話する方法です。句と句の間に必ず休止時間が入るため、結果的に発話速度が低下します。失語症患者や吃音患者の治療に用いられます。
d. モーラ指折り法
✅ 正しい。1モーラ(日本語の音韻的時間単位)ごとに指を折りながら発話する訓練です。1モーラ=1指折りにすることで、自動的に発話時間が延長し、発話速度が低下します。吃音や構音障害において、発話速度を制御する代表的な訓練法です。
e. メンタルリハーサル法
❌ 誤り。発話や発声前に、その内容や方法を心内で予行演習(イメージトレーニング)する方法で、自信向上や精神的準備が目的です。発話速度の制御とは直接関係がありません。
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【試験対策ポイント】
発話速度低減訓練の分類
| 訓練法 | 目的 | 具体的方法 | 対象障害 |
|---|---|---|---|
| フレージング法 | 速度低減・流暢性向上 | 文を句に分割→ポーズ挿入 | 吃音・失語症 |
| モーラ指折り法 | 速度低減・リズム制御 | 1モーラ=1指折り | 吃音・構音障害 |
| アクセント法 | 韻律改善・リズム向上 | アクセント位置強調 | パーキンソン病 |
| チューイング法 | 器官可動性・筋力向上 | 咀嚼運動模倣 | 球麻痺 |
| メンタルリハーサル法 | 精神準備・不安軽減 | イメージトレーニング | 発話不安・心因性障害 |
重要な区別
- 「速度を遅くする」=フレージング法・モーラ指折り法
- 「韻律を改善する」=アクセント法
- 「筋力を向上させる」=チューイング法
- 「精神的準備」=メンタルリハーサル法