第17回 言語聴覚士国家試験 第85問
嚥下障害第17回
若年者と比較して高齢者の嚥下機能の特徴で正しいのはどれか。
- 1.唾液分泌が増加する。
- 2.喉頭挙上のタイミングが早くなる。
- 3.喉頭の感覚が低下する。 ✓
- 4.食道入口部括約筋が緩んでいる。
- 5.食塊の咽頭通過速度が速くなる。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 喉頭の感覚が低下する。
高齢者では加齢に伴い、喉頭蓋周囲や声帯上部の感覚受容器が減少し、喉頭感覚が低下します。これにより、誤嚥を防止する反射が鈍化し、誤嚥のリスクが増加します。これは高齢者の嚥下障害の重要な機能的特徴です。
---
【各選択肢の解説】
1. 唾液分泌が増加する。
❌ 誤り。高齢者では唾液分泌は減少します。加齢により唾液腺の萎縮と腺房細胞の機能低下が生じ、唾液分泌量が約30~50%低下するとされています。
2. 喉頭挙上のタイミングが早くなる。
❌ 誤り。むしろ高齢者では喉頭挙上のタイミングが遅延します。咽頭期の反応性低下により、嚥下反射自体が遅れる傾向があります。
3. 喉頭の感覚が低下する。
✅ 正しい。加齢に伴い喉頭蓋周囲や梨状窩の感覚受容器が減少し、感覚が低下します。この感覚低下は咳反射や誤嚥防止反射の減弱につながり、高齢者での誤嚥リスク増加の主要因です。
4. 食道入口部括約筋が緩んでいる。
❌ 誤り。むしろ高齢者では食道入口部括約筋(咽頭食道括約筋)の静止圧が増加または維持される傾向があります。括約筋の弛緩は一貫した加齢現象ではありません。
5. 食塊の咽頭通過速度が速くなる。
❌ 誤り。高齢者では咽頭期の筋力低下により、食塊の咽頭通過速度は遅延します。咽頭収縮波の減弱が認められます。
---
【試験対策ポイント】
高齢者の嚥下機能の特徴(加齢変化):
| 項目 | 高齢者の変化 |
|---|---|
| 唾液分泌 | 減少 |
| 喉頭感覚 | **低下**(正答) |
| 喉頭挙上タイミング | 遅延 |
| 舌骨挙上距離 | 短縮 |
| 咽頭通過速度 | 遅延 |
| 食道入口部括約筋圧 | 増加または維持 |
| 咳反射 | 低下 |
重要な誤りやすいポイント:
- 「括約筋が緩む」は加齢の普遍的な現象ではない
- 「タイミングが早くなる」は誤り(むしろ遅延)
- 感覚低下は誤嚥防止機構の減弱に直結する最重要因子