第17回 言語聴覚士国家試験 第87問
嚥下障害第17回
嚥下障害の病態と対応との組合せで正しいのはどれか。
- 1.一側咽頭麻痺 ― 頚部回旋位 ✓
- 2.軟口蓋挙上不全 ― 頚部後屈位
- 3.食道入口部の開大不全 ― 交互嚥下
- 4.喉頭蓋谷への飲食物残留 ― バルーン拡張
- 5.舌運動障害による食塊移送不全 ― 頚部前屈位
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 一側咽頭麻痺 ― 頚部回旋位
一側咽頭麻痺では、患側への食物流入を防ぐために、患側と反対側に頚部を回旋させる。頚部回旋位により咽頭収縮が健側に優位に機能し、食物の安全な通過を促進できます。これは嚥下困難患者に対する重要な代償戦略の一つです。
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【各選択肢の解説】
1. 一側咽頭麻痺 ― 頚部回旋位
✅ 正しい。一側咽頭麻痺では患側への流入を防ぐため、健側へ頚部を回旋させる。咽頭筋の収縮力が健側に優位に機能し、食物の誤嚥を減らせます。
2. 軟口蓋挙上不全 ― 頚部後屈位
❌ 誤り。軟口蓋挙上不全に対しては「頚部前屈位」が適応です。頚部後屈位は軟口蓋挙上不全を悪化させ、鼻腔への逆流のリスクを高めます。
3. 食道入口部の開大不全 ― 交互嚥下
❌ 誤り。食道入口部の開大不全には「液体→固形→液体」の順序での交互嚥下は有効ですが、通常は液体を先に嚥下してから固形へ進む「順序調整」が原則です。むしろ「自動的な開大促進を待つ」または「嚥下訓練」が中心になります。
4. 喉頭蓋谷への飲食物残留 ― バルーン拡張
❌ 誤り。喉頭蓋谷への残留は「反復嚥下」「頚部回旋」「頚部前屈」で対応します。バルーン拡張は食道狭窄(スクレロデルマなど)の治療であり、喉頭蓋谷残留には適応外です。
5. 舌運動障害による食塊移送不全 ― 頚部前屈位
❌ 誤り。舌運動障害による食塊移送不全は「口腔準備期」の障害です。頚部前屈位は咽頭期(特に軟口蓋挙上不全)を補助する戦略であり、舌の運動能力そのものを改善しません。舌運動訓練が優先されます。
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【試験対策ポイント】
嚥下障害の病態と対応(代償戦略)の対応表:
| 病態 | どの相の障害か | 適応する対応 |
|---|---|---|
| 一側咽頭麻痺 | 咽頭期 | 頚部回旋位(健側へ) |
| 軟口蓋挙上不全 | 咽頭期 | 頚部前屈位 |
| 舌運動障害 | 口腔準備期~口腔移送期 | 舌運動訓練 |
| 食道入口部開大不全 | 食道期 | 反復嚥下・訓練 |
| 喉頭蓋谷残留 | 咽頭期 | 反復嚥下・頚部回旋 |
キーポイント:
- 頚部回旋位:一側麻痺の患側を避ける
- 頚部前屈位:軟口蓋挙上不全・喉頭蓋谷残留に有効
- バルーン拡張:食道狭窄に対する内視鏡治療(嚥下障害の代償戦略ではない)
- 交互嚥下:食道期の狭窄症状を緩和(粘度変更)
- 反復嚥下:咽頭期の残留物クリアランスに有効