第17回 言語聴覚士国家試験 第89問
小児聴覚障害第17回
遺伝性難聴について正しいのはどれか。
- 1.約30%が非症候群性難聴である。
- 2.約80%が常染色体優性遺伝である。
- 3.難聴の遺伝子検査および診断は保険適応外である。
- 4.前庭水管拡大症の難聴は進行しない。
- 5.GJB2遺伝子異常による難聴は重度難聴とは限らない。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — GJB2遺伝子異常による難聴は重度難聴とは限らない。
GJB2遺伝子(コネクシン26をコードする)は遺伝性難聴の最多原因遺伝子ですが、その表現型は極めて多様です。同じ遺伝子異常でも軽度難聴から高度難聴まで様々な程度の難聴が生じ、進行性を示す場合と非進行性の場合も混在します。したがって、GJB2異常=重度難聴という直線的な関係は成立しません。
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【各選択肢の解説】
1. 約30%が非症候群性難聴である。
❌ 誤り。遺伝性難聴の約70%以上が非症候群性難聴(syndromic hearing loss を伴わない難聴)です。選択肢の「30%」は間違いで、実際には「70~80%が非症候群性」が正確な統計です。
2. 約80%が常染色体優性遺伝である。
❌ 誤り。遺伝性難聴の約80%は常染色体劣性遺伝です。優性遺伝は約20%に過ぎません。特にGJB2遺伝子異常は常染色体劣性が大多数であり、親が保因者の場合に顕在化します。
3. 難聴の遺伝子検査および診断は保険適応外である。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニング後の原因診断や先天性難聴の遺伝学的検査は、2018年以降段階的に保険適応が拡大されています。現在では条件付きで保険診療の対象になった項目も存在します。
4. 前庭水管拡大症の難聴は進行しない。
❌ 誤り。前庭水管拡大症(LVAS: Large Vestibular Aqueduct Syndrome)は進行性感音難聴の典型例です。NHS通過後に難聴が進行し、軽度から高度難聴へと悪化することが多く、進行性であることが診断上の重要な特徴です。
5. GJB2遺伝子異常による難聴は重度難聴とは限らない。
✅ 正しい。GJB2は遺伝性難聴の最多原因遺伝子ですが、同一遺伝子異常でも表現型の多様性が著しく、軽度難聴・中等度難聴・高度難聴が混在します。また進行性と非進行性も混在するため、遺伝子型と表現型の相関が必ずしも強くありません。
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【試験対策ポイント】
遺伝性難聴の基本統計と分類
| 項目 | 数値・特徴 |
|---|---|
| 遺伝性難聴の割合 | 先天性難聴の約50~60% |
| 非症候群性の割合 | 約70~80% |
| 症候群性の割合 | 約20~30% |
| 劣性遺伝の割合 | 約80% |
| 優性遺伝の割合 | 約20% |
GJB2遺伝子異常の特徴
- 遺伝性難聴の最多原因(先進国で約50%)
- 常染色体劣性遺伝が大多数
- 表現型:軽度~高度難聴が混在 ← 同じ遺伝子でも多様
- 進行性・非進行性の両者が存在
- 聴力の安定性が個体差著しい
前庭水管拡大症(LVAS)の重要特徴
- NHS通過後に難聴が進行 ← 非進行性ではない
- 感音難聴(両側)
- 画像診断(CT/MRI)で確定
- 家族歴がない散発例も多い
- 遺伝子:SLC26A4(