第17回 言語聴覚士国家試験 第90問
聴力検査第17回
新生児聴覚スクリーニングで正しいのはどれか。
- 1.耳音響放射は自動ABRより偽陽性率が低い。
- 2.両側難聴のみ要精査とする。
- 3.法制化された制度である。
- 4.難聴と診断されない。 ✓
- 5.パスであった児は3歳児健康診査で聴力の評価は必要ない。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 難聴と診断されない。
新生児聴覚スクリーニング(NHS)は、難聴児を早期に**発見・紹介する制度**であり、スクリーニング自体では難聴の確定診断をしません。「パス」「リファー」の判定結果に基づいて、専門医による精密聴覚検査が行われ、その後に初めて診断が確定します。したがって、NHSの段階では「難聴と診断されない」ことが正しい説明です。
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【各選択肢の解説】
1. 耳音響放射は自動ABRより偽陽性率が低い。
❌ 誤り。むしろ耳音響放射(OAE)の方が偽陽性率が**高い**とされています。OAEは外有毛細胞機能の評価のみで、中枢聴覚経路の障害は検出できないため、偽陽性が生じやすいのに対し、自動ABRはより中枢的な聴覚経路を評価するため、より特異的です。
2. 両側難聴のみ要精査とする。
❌ 誤り。一側難聴も重要な診断対象です。両側難聴だけでなく、**一側難聴も要精査対象**として扱われます。一側難聴は音声言語発達や学習に影響を及ぼす可能性があるため、スクリーニング陽性(リファー)であれば精査が必要です。
3. 法制化された制度である。
❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニングは、厚生労働省が推奨する**制度的ガイドラインですが、法律で義務化されていません**。実施は自治体や医療機関の判断に委ねられており、実施率も地域によって異なっています。したがって「法制化」という表現は不正確です。
4. 難聴と診断されない。
✅ 正しい。NHSはあくまで**スクリーニング(ふるい分け)**であり、「難聴である」と診断する検査ではありません。リファー(精密検査推奨)の判定を受けた児が、その後の精密聴覚検査(ABR、ティンパノメトリーなど)により初めて難聴が確定診断されます。
5. パスであった児は3歳児健康診査で聴力の評価は必要ない。
❌ 誤り。NHSでパスであった児でも、**後天的な難聴が発症する可能性**があります(後天性難聴や、進行性難聴など)。また、開設性難聴(例:前庭水管拡大症LVAS)も存在するため、3歳児健康診査を含めた**定期的な聴力フォローアップは必要**です。
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【試験対策ポイント】
新生児聴覚スクリーニング(NHS)の基本概念
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 目的 | 難聴児の早期発見・早期介入(診断ではない) |
| 実施時期 | 生後2~3日(入院中)が標準 |
| 主要検査 | OAE(耳音響放射)・自動ABR |
| 判定結果 | 「パス」または「リファー」(精密検査推奨) |
| 法的位置付け | **法制化されていない**(自治体の判断) |
| 後のフォロー | リファー→精密聴覚検査(確定診断) |
OAE vs 自動ABRの特性比較
| 特性 | OAE | 自動ABR |
|---|---|---|
| 検査部位 | 外有毛細胞 | 中枢聴覚経路 |
| 偽陽性率 | **高い** | **低い** |
| 中枢難聴検出 | ×不可 | ◎可能 |
| 実施時間 |