第17回 言語聴覚士国家試験 第92問
小児聴覚障害第17回
聴覚障害児の構音指導として適切でない組合せはどれか。
- 1.[h] ― ろうそくを吹く。
- 2.[t] ― 奥舌を口蓋につける。 ✓
- 3.[n] ― 鼻翼に触れて振動を感じる。
- 4.[k] ― うがいをさせて、徐々に水を減らす。
- 5.[s] ― 歯と舌でストローをはさみ、コップの水を吹く。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — [t] ― 奥舌を口蓋につける。
[t]の音は舌先を上歯肉に接触させて作る音(歯肉音)です。奥舌を口蓋につけるのは[k]や[g]を習得する際の指導法であり、[t]の正しい発音位置ではありません。したがってこの組合せは適切ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. [h] ― ろうそくを吹く。
✅ 正しい。[h]は無声咽頭摩擦音で、咽頭部の呼気流によって生成されます。ろうそくを吹く動作は呼気流を意識させ、同時に顔面の筋肉協調を促進するため、聴覚障害児の[h]指導として適切です。
2. [t] ― 奥舌を口蓋につける。
❌ 誤り。[t]は舌先を上歯肉(歯肉音)に接触させて作る音であり、奥舌の口蓋接触を必要としません。奥舌を口蓋につけるのは[k]や[g]などの軟口蓋音の指導法です。
3. [n] ― 鼻翼に触れて振動を感じる。
✅ 正しい。[n]は鼻音であり、調音部位は歯肉音と同じですが、軟口蓋が下がって鼻腔へ呼気が逃げることが特徴です。鼻翼の振動を視覚・触覚で確認させることは、聴覚障害児に鼻音化を実感させるための有効な指導法です。
4. [k] ― うがいをさせて、徐々に水を減らす。
✅ 正しい。[k]は軟口蓋音(奥舌を軟口蓋に接触)です。うがい動作により軟口蓋の挙上と奥舌の動きを促進でき、その後水の量を減らしていくことで[k]音への移行を促します。聴覚障害児の[k]指導として標準的な方法です。
5. [s] ― 歯と舌でストローをはさみ、コップの水を吹く。
✅ 正しい。[s]は歯茎音で、歯と舌の間を空気が通って生成されます。ストローを咬ませることで舌位置を安定させ、かつ水を吹く動作で呼気流を意識させる適切な指導法です。
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【試験対策ポイント】
構音指導の重要な誤り形式:「調音部位の混同」
| 音 | 調音部位 | 指導時のキーワード |
|---|---|---|
| [h] | 咽頭 | 呼気流・ろうそく |
| [t][d] | 歯肉音(舌先) | 舌先を上歯肉に接触 |
| [n] | 歯肉音(鼻音) | 鼻翼振動・鼻腔通過 |
| [k][g] | 軟口蓋音(奥舌) | 奥舌を軟口蓋に接触・うがい |
| [s] | 歯茎音 | 舌と歯の間の呼気流 |
頻出の誤り知識:
- 「[t]の指導で奥舌を使う」→誤り(これは[k]の指導法)
- 「[n]の指導で鼻翼振動を感じさせない」→誤り(鼻音確認に重要)
- 聴覚障害児の構音指導は視覚・触覚・固有感覚を活用した多感覚的アプローチが基本