第18回 言語聴覚士国家試験 第100問
小児聴覚障害第18回
先天性盲ろう乳幼児への初期介入について、誤っているものはどれか。
- 1.介人行為の合図を決める。
- 2.周囲の状況を知らせる。
- 3.触手話で事物の名称を教える。 ✓
- 4.児からの発信をくみ取り、介入者がフィードバックする。
- 5.要求行動が出るあやし遊びを行う。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 触手話で事物の名称を教える。
先天性盲ろう乳幼児への初期介入では、発達段階に応じた段階的なアプローチが必須です。触手話による事物の名称教示は、まず基本的なコミュニケーション基盤が確立された「後期」の介入であり、初期段階では不適切です。初期介入の優先順位は、信頼関係構築→コミュニケーション手段の確立→象徴的理解となります。
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【各選択肢の解説】
1. 介入行為の合図を決める。
✅ 正しい。盲ろう児は視聴覚両方を失っているため、介入者による一貫性のある身体接触(タッチ)やサイン(膝たたきなど)が、介入の開始を示す重要な合図となります。これにより児の予測可能性が高まり、信頼関係形成の基盤となります。
2. 周囲の状況を知らせる。
✅ 正しい。盲ろう児は周囲情報を自動的に入手できないため、環境や状況をハンドシェイピング(手を握っての動作共有)や触手話で知らせることで、世界への理解を深めます。これは初期介入で最優先される重要な役割です。
3. 触手話で事物の名称を教える。
❌ 誤り。触手話による名称教示は、児が既に基本的なコミュニケーション基盤を持ち、象徴的思考が芽生えた段階での介入です。初期段階では、まず「介入者との信頼関係」「予測可能な相互作用」「身体を通じた認識」を優先し、後に段階的に言語的介入へ進みます。
4. 児からの発信をくみ取り、介入者がフィードバックする。
✅ 正しい。盲ろう児の微細な発信(身体動作・声など)をていねいに受け止め、それに応答することは、児の「自発性」「意図性」を高め、コミュニケーション欲求を引き出す重要な初期介入です。これにより双方向性が生まれます。
5. 要求行動が出るあやし遊びを行う。
✅ 正しい。反復的で予測可能な身体遊びは、児の要求行動を自然に引き出し、相互作用を深めます。初期段階での信頼関係構築と発信促進において最適な方法です。
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【試験対策ポイント】
先天性盲ろう乳幼児介入の発達段階(段階的アプローチ)
| 段階 | 主な目標 | 介入内容 | 時間軸 |
|---|---|---|---|
| 初期段階 | 信頼関係・予測可能性の形成 | 身体接触・合図の一貫化、相互作用遊び、環境知らせ | 出生直後〜 |
| 中期段階 | 能動的コミュニケーション基盤確立 | 児の発信受容、双方向やりとり、ハンドシェイピング | 6ヶ月以降 |
| 後期段階 | 象徴的理解・言語獲得 | 触手話による名称教示、語彙拡大 | 1〜2歳以降 |
頻出の誤り:「触手話は初期段階から用いるべき」という誤概念
盲ろう児介入で「してはいけないこと」「順序を誤りやすいこと」
- 視覚・聴覚補助具を無視した介入 → 残存感覚の活用が最優先
- 一方的な教示 ← 児主体の相互作用から始まるべき
- 触手話による名称教示を初期段階で開始 ← 段階的アプローチの誤り
- 環境状況を知らせ