第18回 言語聴覚士国家試験 第104問
臨床神経学第18回
病変部位と症候との組合せで誤っているのはどれか。
- 1.内包 ― 上肢巧緻性障害
- 2.小脳 ― 失調
- 3.末梢神経 ― 腱反射亢進 ✓
- 4.脳幹 ― 嚥下障害
- 5.前頭葉 ― 自発性低下
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 末梢神経 ― 腱反射亢進
末梢神経障害では、病変部位の性質から腱反射は「減弱または消失」します。腱反射亢進は中枢神経系(特に錐体路)の病変を示唆する所見であり、末梢神経障害との組合せは誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 内包 ― 上肢巧緻性障害
✅ 正しい。内包は皮質脊髄路を含む重要な白質で、ここの病変は対側上肢の巧緻運動障害(精密な指の動きの障害)をきたします。内包出血は古典的な片麻痺の原因です。
2. 小脳 ― 失調
✅ 正しい。小脳は運動の調整・協調を担当する器官であり、病変によって失調(ataxia)が生じます。運動は可能ですが不正確・非協調的になる特徴的な症候です。
3. 末梢神経 ― 腱反射亢進
❌ 誤り。末梢神経障害では神経線維そのものが障害されるため、求心路・遠心路の機能低下により腱反射は「減弱または消失」します。腱反射亢進は脳や脊髄の錐体路損傷時に見られる中枢神経系の所見です。
4. 脳幹 ― 嚥下障害
✅ 正しい。脳幹には迷走神経や舌咽頭神経の核が存在し、脳幹梗塞や出血によって嚥下障害(球麻痺症状)が生じます。脳幹病変は嚥下障害の重要な原因です。
5. 前頭葉 ― 自発性低下
✅ 正しい。前頭葉特に前頭葉内側部(補足運動野など)の病変は無動性無言や自発性低下をきたします。動機づけ・意欲に関わる領域であり、障害されると spontaneous activity の減少が見られます。
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【試験対策ポイント】
病変部位と神経学的症候の対応関係
| 部位 | 典型的症候 | 反射 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大脳皮質・内包 | 上肢巧緻性障害・片麻痺 | 亢進 | 錐体路障害 |
| 脳幹 | 球麻痺・嚥下障害・眼球運動障害 | 正常~亢進 | 脳神経核が豊富 |
| 脊髄 | パラプレジア・感覚障害 | 亢進(病変以下) | 上位運動ニューロン |
| 末梢神経 | 弛緩性麻痺・筋萎縮 | 減弱/消失 | 下位運動ニューロン障害 |
| 小脳 | 失調・補償眼球運動障害 | 正常 | 筋力は保たれる |
| 筋 | 筋力低下・筋痛 | 減弱/消失 | 筋電図で異なる |
腱反射の鍵
- **亢進**:中枢神経系の上位運動ニューロン障害(脳・脊髄)
- **減弱/消失**:末梢神経・根・脊髄前角細胞の下位運動ニューロン障害
- 神経根症・末梢神経障害では「必ず反射低下」と覚える