第18回 言語聴覚士国家試験 第105問
臨床神経学第18回
外傷性脳損傷患者のリハビリテーションについて誤っているのはどれか。
- 1.記銘力障害に対してメモ帳の使用を定着させる。
- 2.遂行機能障害に対して作業手順を簡略にする。
- 3.問題行動に対して行動変容法を実施する。
- 4.地域での就労や就学支援につなげる。
- 5.興奮状態に対して強い口調で叱る。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 興奮状態に対して強い口調で叱る。
外傷性脳損傷(TBI)患者の興奮状態(agitation)は、脳損傷に伴う神経生物学的変化が原因です。強い口調で叱責することは刺激を増加させ、興奮をさらに悪化させます。代わりに、環境調整(刺激軽減)、冷静で穏やかな対応、リラクセーション技法が推奨されます。
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【各選択肢の解説】
1. 記銘力障害に対してメモ帳の使用を定着させる。
✅ 正しい。記銘力障害(新しい情報を覚える困難)に対して、外的代償手段(メモ帳、スケジュール帳、スマートフォンアプリ)の活用は標準的なリハビリテーション手法です。記憶機能の改善が困難な場合、代償的アプローチが有効です。
2. 遂行機能障害に対して作業手順を簡略にする。
✅ 正しい。遂行機能障害(計画・組織化・実行能力の低下)に対して、タスク分解や手順の簡略化、チェックリスト作成は代表的な代償戦略です。段階的課題提示も効果的です。
3. 問題行動に対して行動変容法を実施する。
✅ 正しい。外傷性脳損傷患者の問題行動(攻撃性、社会的不適応、衝動行動)に対して、行動療法・行動変容法(強化・消去・罰)は有効な心理学的介入です。機能の改善ではなく、行動パターンの変更を目指します。
4. 地域での就労や就学支援につなげる。
✅ 正しい。外傷性脳損傷後のリハビリテーションの最終目標は社会復帰です。職業訓練、ジョブコーチ支援、教育支援など、地域統合を促進する多職種支援は重要な過程です。
5. 興奮状態に対して強い口調で叱る。
❌ 誤り。TBI患者の興奮状態は脳損傷に伴う神経生物学的現象であり、道徳的問題ではありません。強い刺激や叱責は興奮をエスカレートさせます。対応は環境調整(刺激軽減)、冷静で低い声、共感的なコミュニケーション、必要に応じて薬物療法が適切です。
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【試験対策ポイント】
外傷性脳損傷患者のリハビリテーション管理
| 問題 | 対応原則 | 具体例 |
|---|---|---|
| 記銘力障害 | 外的代償手段 | メモ帳、手帳、アプリ |
| 遂行機能障害 | タスク分解・簡略化 | チェックリスト、段階的指示 |
| 半側空間無視 | 環境調整・視覚的キュー | マーキング、代償戦略 |
| 問題行動 | 行動変容法 | 強化、消去、環境調整 |
| 興奮状態 | 刺激軽減・冷静対応 | 環境調整、低い声、共感 |
| 社会的不適応 | 地域統合支援 | 職業訓練、就学支援 |
関鍵ワード:「外傷性脳損傷は高次脳機能障害」→認知・行動問題が多発する。問題行動を「性格の問題」や「躾の問題」と誤解しないこと。