第18回 言語聴覚士国家試験 第109問
神経系第18回
上位運動ニューロン障害にみられる症候はどれか。
a.筋線維束性収縮(攣縮)
b.高度筋萎縮
c.バビンスキー反射陽性
d.痙性麻痺
e.位置覚の消失
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c.バビンスキー反射陽性、d.痙性麻痺
上位運動ニューロン(UMN)障害は錐体路の障害により、脳卒中やパーキンソン病などで見られます。UMN障害の典型的な症候は「痙性麻痺」と「病的反射(バビンスキー反射陽性)」です。これに対し、筋線維束性収縮・高度筋萎縮は下位運動ニューロン障害の特徴であり、位置覚消失は後索障害の特徴です。
---
【各選択肢の解説】
a. 筋線維束性収縮(攣縮)
❌ 誤り。筋線維束性収縮は下位運動ニューロン(LMN)障害の特徴です。脊髄前角細胞や脊髄神経根の病変で見られ、ALSやポリオなどで顕著に現れます。UMN障害では筋細胞自体の異常がないため、筋線維束性収縮は認められません。
b. 高度筋萎縮
❌ 誤り。高度な筋萎縮はLMN障害の特徴です。UMN障害では脱神経による進行性の高度萎縮は生じず、むしろ痙性によって筋が緊張した状態が保たれます。UMNで見られる萎縮は軽度で、主に非使用による萎縮です。
c. バビンスキー反射陽性
✅ 正しい。バビンスキー反射陽性(足底反射の背屈応答)はUMN障害の最も重要な病的反射です。成人では正常足底反射は底屈ですが、UMN障害で錐体路が損傷されると反応が反転し背屈します。脳卒中、脊髄損傷などで認められます。
d. 痙性麻痺
✅ 正しい。痙性麻痺はUMN障害の典型的症候です。随意運動の開始困難、筋トーヌスの亢進、反射の亢進、クローヌスなどを示します。脳出血後の片麻痺や脊髄損傷後に見られる典型的な臨床像です。
e. 位置覚の消失
❌ 誤り。位置覚消失は後索(後隆起束・薄束)の障害で見られ、これはUMN障害ではなく感覚障害です。UMN障害では通常、感覚を含む後索機能は温存されます。
---
【試験対策ポイント】
上位運動ニューロン(UMN)障害と下位運動ニューロン(LMN)障害の鑑別
| 症候 | UMN障害 | LMN障害 |
|---|---|---|
| 筋力低下 | あり(上肢屈筋優位) | あり(分節的) |
| 筋萎縮 | 軽度または無し | 高度・著しい |
| 筋線維束性収縮 | なし | あり(重要) |
| 筋トーヌス | 亢進(痙性) | 低下(弛緩) |
| 反射 | 亢進・クローヌス | 消失 |
| バビンスキー反射 | 陽性(重要) | 正常 |
| 分布 | 中枢側(脳・脊髄) | 末梢側(神経根・末梢神経) |
UMN障害の主要な徴候:「痙性+病的反射」が組み合わさる
- 脳卒中後の片麻痺(最頻)
- 脊髄損傷
- 脊髄小脳変性症
- 多発性硬化症
感覚障害との混同を避ける:
- 位置覚・振動覚消失=後索障害(感覚ニューロンの障害)