第18回 言語聴覚士国家試験 第110問
臨床神経学第18回
抗コリンエステラーゼ薬で眼瞼下垂が改善した。考えられる疾患はどれか。
- 1.筋萎縮性側索硬化症
- 2.ギラン・バレー症候群
- 3.パーキンソン病
- 4.重症筋無力症 ✓
- 5.筋強直性ジストロフィー
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 重症筋無力症
抗コリンエステラーゼ薬(ネオスチグミンなど)は、シナプス間隙のアセチルコリン濃度を上昇させることで、神経筋接合部の伝達を改善します。重症筋無力症は神経筋接合部での自己免疫的障害であるため、抗コリンエステラーゼ薬は眼瞼下垂などの症状を改善させます。この薬剤反応性は重症筋無力症の診断的価値も持ちます。
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【各選択肢の解説】
1. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
❌ 誤り。ALSは運動ニューロン自体の変性疾患であり、神経筋接合部の障害ではありません。抗コリンエステラーゼ薬は効果がなく、眼瞼下垂の改善は期待できません。
2. ギラン・バレー症候群
❌ 誤り。末梢神経の脱髄疾患で、神経筋接合部ではなく末梢神経そのものが障害されています。抗コリンエステラーゼ薬は治療効果がありません。
3. パーキンソン病
❌ 誤り。錐体外路系の中脳黒質の変性疾患で、神経筋接合部に直接的な異常がありません。眼瞼下垂はパーキンソン病の症状ですが、抗コリンエステラーゼ薬では改善しません。
4. 重症筋無力症
✅ 正しい。神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体が産生される疾患です。抗コリンエステラーゼ薬によるアセチルコリン濃度上昇により、眼瞼下垂・眼外筋麻痺などの症状が改善されます。テンシロン試験(ネオスチグミン試験)はこの原理を診断に利用しています。
5. 筋強直性ジストロフィー
❌ 誤り。筋肉そのものの遺伝的変性疾患で、神経筋接合部の障害ではありません。抗コリンエステラーゼ薬は有効ではなく、眼瞼下垂の改善は期待できません。
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【試験対策ポイント】
| 疾患 | 障害部位 | 特徴 | 抗コリンエステラーゼ薬反応 |
|---|---|---|---|
| 重症筋無力症 | 神経筋接合部 | 自己抗体による受容体障害 | ✅ 有効(症状改善) |
| ALS | 運動ニューロン | 神経細胞の変性 | ❌ 無効 |
| ギラン・バレー | 末梢神経 | 脱髄 | ❌ 無効 |
| パーキンソン病 | 中脳黒質 | ドーパミン枯渇 | ❌ 無効 |
| 筋強直性ジストロフィー | 筋肉 | 遺伝性筋疾患 | ❌ 無効 |
キーワード:
- 神経筋接合部障害=重症筋無力症の思考パターンを固定化する
- テンシロン試験:診断確定法としても機能
- 抗コリンエステラーゼ薬は「他の神経筋疾患には無効」という否定知識が重要
- 重症筋無力症で眼瞼下垂が目立つ理由:目の周りの筋肉は比較的小さく、疲労しやすい部位だから