第18回 言語聴覚士国家試験 第123問
臨床神経学第18回
視床の損傷で生じないのはどれか。
- 1.失語
- 2.体性感覚障害
- 3.片麻痺 ✓
- 4.傾眠
- 5.健忘
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 片麻痺
視床は感覚中継核として機能し、感覚情報の処理・統合に関わります。ただし運動出力の直接的な制御には関与しないため、視床単独の損傷では片麻痺は生じません。片麻痺は錐体路(内包・脳幹・脊髄)の損傷で生じる運動症状です。一方、視床損傷では感覚障害、意識障害(傾眠)、認知機能障害(健忘)、左視床損傷で言語機能障害(失語)が生じます。
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【各選択肢の解説】
1. 失語
✅ 正しい。左視床(特にVA核・DM核)の損傷により「視床性失語」が生じることがあります。この場合、理解は比較的保たれて命名や流暢性の低下が見られる傾向です。
2. 体性感覚障害
✅ 正しい。視床のVPL核およびVPM核は四肢・躯幹、顔面の感覚情報を中継する中核です。これらの損傷により対側の温痛覚や固有感覚の障害が生じます。
3. 片麻痺
❌ 誤り。視床は感覚中継核であり、運動制御には直接関与しません。片麻痺は内包・脳幹の錐体路損傷で生じます。視床損傷では運動麻痺は通常生じません。
4. 傾眠
✅ 正しい。視床のIM核(中間核)や髄板内核群は覚醒レベルの制御に関わります。これらの損傷により意識障害(傾眠、昏睡)が生じます。
5. 健忘
✅ 正しい。視床のDM核(背内側核)およびMA核は記憶機能に関与します。これらの損傷により前向き健忘が生じます(Korsakoff症候群に類似)。
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【試験対策ポイント】
視床の主要核と機能:
| 核 | 機能 | 損傷時の症状 |
|---|---|---|
| VPL核(腹外側核) | 運動情報の中継 | 寡動、振戦 |
| VPM核(腹内側核) | 顔面感覚中継 | 顔面感覚障害 |
| VA核(腹前核) | 認知・動機 | 無欲動、認知低下 |
| DM核(背内側核) | 記憶(特に前向き) | 健忘 |
| IM核 | 覚醒 | 傾眠・昏睡 |
| LGN(外側膝状体) | 視覚 | 同名半盲 |
| MGN(内側膝状体) | 聴覚 | 聴覚障害 |
重要:視床損傷では「運動麻痺」は生じない
・視床は感覚中継核であり運動出力に関与しない
・片麻痺が生じるのは内包・脳幹・脊髄の錐体路損傷
・小脳・基底核損傷でも直接的な麻痺は生じない
視床損傷で生じやすい症状
・「視床手」(thalamic hand):感覚障害に伴う特異的な手指姿勢
・Thalamic astasia:視床損傷時の小脳的失調
・Thalamic dementia:DM核損傷による認知低下