第18回 言語聴覚士国家試験 第141問
音響学第18回
臨界帯域に関する説明として誤っているのはどれか。
- 1.中心周波数が100~500Hzで臨界帯域幅は約100Hzとなる。
- 2.中心周波数が500Hzを超えると臨界帯域幅は約200Hzとなる。 ✓
- 3.聴覚系の周波数分析機能に関連する概念である。
- 4.臨界帯域幅以下ではパワー密度一定で雑音の帯域幅を拡大すると純音に対するマスキング量が増大する。
- 5.臨界帯域幅以上ではパワー密度一定で雑音の帯域幅を拡大しても純音に対するマスキング量は一定である。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 中心周波数が500Hzを超えると臨界帯域幅は約200Hzとなる。
臨界帯域幅は周波数帯域によって異なり、低周波帯域では幅が狭く、高周波帯域では幅が広がっていきます。500Hzを超えると臨界帯域幅は約200Hzで一定になるという説明は誤りです。実際には500Hzを超えても周波数が上がるにつれて臨界帯域幅はさらに増大し、1kHz以上では約100~200Hz程度で比較的一定に傾向を示しますが、さらに高い周波数では広がり続けます。選択肢の表現は不正確です。
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【各選択肢の解説】
1. 中心周波数が100~500Hzで臨界帯域幅は約100Hzとなる。
✅ 正しい。低周波帯域(100~500Hz)では臨界帯域幅は約100Hz程度の狭い幅を示します。これはZwickerの臨界帯域幅データで確認される標準的な値です。
2. 中心周波数が500Hzを超えると臨界帯域幅は約200Hzとなる。
❌ 誤り。500Hzを超えても臨界帯域幅は周波数に比例して増大し続けます。単純に「約200Hzで一定」と述べるのは不正確であり、実際にはさらに高い周波数ではより広い帯域幅を示す傾向があります。
3. 聴覚系の周波数分析機能に関連する概念である。
✅ 正しい。臨界帯域はコクレアの周波数選別能力を反映し、内耳における周波数分析機能と直結する概念です。有毛細胞の応答パターンと密接に関連しています。
4. 臨界帯域幅以下ではパワー密度一定で雑音の帯域幅を拡大すると純音に対するマスキング量が増大する。
✅ 正しい。臨界帯域幅より狭い範囲では、雑音の帯域幅を広げるとパワー密度が一定のままマスキング総パワーが増加し、マスキング量が増大します。これはマスキング実験の基本原理です。
5. 臨界帯域幅以上ではパワー密度一定で雑音の帯域幅を拡大しても純音に対するマスキング量は一定である。
✅ 正しい。臨界帯域幅に達すると、聴覚系は帯域外の雑音成分をフィルタリングします。パワー密度が一定でさらに帯域幅を拡大しても、臨界帯域内のパワーは変わらないため、マスキング量は一定となります。
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【試験対策ポイント】
臨界帯域幅の周波数帯域別の値(Zwicker基準):
| 中心周波数 | 臨界帯域幅 |
|---|---|
| 100~500Hz | 約100Hz |
| 1kHz | 約100~150Hz |
| 2kHz以上 | 周波数が上昇につれて増大 |
マスキング実験と臨界帯域の関係:
- 臨界帯域幅以下:雑音帯域幅を広げるとマスキング増大(パワー増加)
- 臨界帯域幅以上:雑音帯域幅を広げてもマスキング一定(フィルタリング作用)
- キーワード:「パワー密度一定」「帯域幅」「マスキング量」の3者関係を理解
頻出誤解:臨界帯域幅は「周波数により変動する」ことを見落とすと選択肢2のような誤解が生じやすい