第18回 言語聴覚士国家試験 第145問
言語発達学第18回
語彙習得における生得論的な考え方はどれか。
- 1.Skinner,B.F.の反応形成説
- 2.Chomsky,N.の言語獲得装置説
- 3.Tomasello,M.の社会プラグマティック説
- 4.Markman,E.M.の制約論説 ✓
- 5.Bruner.J.S.の言語獲得支援システム説
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — Markman,E.M.の制約論説
制約論説は、幼児が語彙習得時に「語が指示する対象の範囲を自動的に制限する認知的な制約(制約)」を生まれつき有しているという生得論的な考え方です。この制約により、子どもは効率的に新しい語の意味を学習できるとされています。
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【各選択肢の解説】
1. Skinner,B.F.の反応形成説
❌ 誤り。これは「行動主義的」な考え方で、語彙習得を環境による強化・弱化の過程と捉えます。生物学的な生得的メカニズムを重視せず、経験と学習を中心とするため、生得論的ではありません。
2. Chomsky,N.の言語獲得装置説
❌ 誤り。生得論的な考え方ですが、言語獲得装置(LAD)は「文法構造の習得」に焦点を当てており、語彙習得そのものの生得的メカニズムを説明する理論ではありません。
3. Tomasello,M.の社会プラグマティック説
❌ 誤り。これは「社会的相互作用」や「文脈」を重視する考え方で、言語習得を社会文化的過程として捉えます。環境・経験依存的であり、生得論的ではありません。
4. Markman,E.M.の制約論説
✅ 正しい。幼児が語彙習得時に用いる「語順制約」「範疇制約」「相互排他性制約」などの認知的制約が生まれつき備わっているという生得論的な立場です。これらの制約により、子どもは限定された情報からでも効率的に語の意味を推論できます。
5. Bruner.J.S.の言語獲得支援システム説
❌ 誤り。LASS(言語習得支援システム)は「社会的相互作用」を強調し、特に養育者とのやり取り(スキャフォルディング)を通じた学習を重視する相互作用主義的な考え方で、生得論的ではありません。
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【試験対策ポイント】
語彙習得理論の分類表:
| 理論者 | 理論名 | 立場 | 重視する要因 |
|---|---|---|---|
| Skinner | 反応形成説 | 行動主義 | 強化・弱化(環境) |
| Chomsky | 言語獲得装置 | 生得論(文法中心) | 普遍文法 |
| **Markman** | **制約論説** | **生得論(語彙中心)** | **生まれつきの認知制約** |
| Tomasello | 社会プラグマティック説 | 相互作用主義 | 社会的文脈 |
| Bruner | 言語獲得支援システム | 相互作用主義 | スキャフォルディング |
Markmanの制約の例:
- 相互排他性制約:1つの対象は1つの語のみに対応(オウムを新語で呼んでもペットの別名とは解釈しない)
- 語順制約:同じ品詞の語は異なる対象を指す
- 範疇制約:新語は同じカテゴリの対象に拡張される
「生得論」キーワードの見分け方:
- 生得論=生まれつき備わったメカニズムを想定
- Chomsky(文法)、Markman(語彙の制約)が典型
- 行動主義(Skinner)と相互作用主義(Tomasello、Bruner)は生得論ではない