STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第156問

失語症第18回
漢字単語音読について誤っている組合せはどれか。
  1. 1.天丼を「てんき」と読む。 ― 語彙化錯読 ✓
  2. 2.基地を「ぼち」と読む。 ― 視覚性錯読
  3. 3.蛸を「いか」と読む。 ― 意味性錯読
  4. 4.竹藪を「たやけぶ」と読む。 ― 音韻性錯読
  5. 5.海老を「かいろう」と読む。 ― 類音的錯読

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 天丼を「てんき」と読む。―語彙化錯読 天丼を「てんき」と読むのは語彙化錯読ではなく、むしろ「意味性錯読」です。「天丼」という実在する言葉の別の言葉(おかず)へ置き換えられているため、語の意味に基づく誤りです。語彙化錯読は無意味な文字列を実在する言葉として読む場合を指し、「天丼」が既に言葉として存在するため成立しません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 天丼を「てんき」と読む。―語彙化錯読 ❌ 誤り。天丼を「てんき」と読むのは意味性錯読です。天丼は天ぷらを乗せたご飯という「食べ物」の概念から、別の食べ物(天気=気象現象)へ語義が置き換わっているため、意味的なカテゴリー錯誤です。 2. 基地を「ぼち」と読む。―視覚性錯読 ✅ 正しい。「基」という文字が「ぼ」に見える、「地」という文字が「ち」に見えるなど、視覚的な形態の類似性に基づいて生じた誤読です。文字の見た目に基づく錯読は視覚性錯読の定義に合致します。 3. 蛸を「いか」と読む。―意味性錯読 ✅ 正しい。蛸(たこ)とイカは両者とも「頭足類の海洋生物」というカテゴリーで関連があり、意味的に近い概念です。見た目ではなく、意味的・概念的な関連性に基づいて別の言葉へ置き換わるため、意味性錯読の典型例です。 4. 竹藪を「たやけぶ」と読む。―音韻性錯読 ✅ 正しい。「竹」(た)「藪」(やぶ)という正しい音韻列を「たやけぶ」と分節化してしまい、音韻の順序や構造が誤って処理されています。音の組み合わせに基づく錯読は音韻性錯読です。 5. 海老を「かいろう」と読む。―類音的錯読 ✅ 正しい。正答は「えび」ですが「かいろう」と読むのは、「海老」の字義的な読み(「海」「老」)に引きずられつつ、音韻的に類似した別の音に変換される現象です。字義と音韻の両方が関与する錯読です。 --- 【試験対策ポイント】 漢字錯読の5分類まとめ表: | 錯読タイプ | 定義 | 例 | |---|---|---| | 意味性錯読 | 視覚情報は処理できるが、意味的に関連した別の言葉へ置き換わる | 蛸→いか、天丼→てんき(?) | | 視覚性錯読 | 文字の形が類似した別の文字へ置き換わる | 基地→ぼち | | 音韻性錯読 | 音韻ルートの障害により、音読が誤る | 竹藪→たやけぶ | | 語彙化錯読 | 無意味な文字列が実在する言葉へ読まれる | 無意味字→ 既存言葉 | | 類音的錯読 | 字義と音韻が混在して、類似音へ置き換わる | 海老→かいろう | キーポイント: - 意味性錯読は「実在する言葉×意味的関連」が鍵 - 語彙化錯読は「無意味→有意味」が鍵(1番の「天丼」は既に言葉なので不成立) - 視覚性錯読
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