STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第170問

言語発達障害学第18回
3歳の自閉症スペクトラム障害の男児。前言語期。コミュニケーション指導で適切でないのはどれか。
  1. 1.感覚運動遊びを繰り返して要求表現を待つ。
  2. 2.話者の方へ子供の注意を向けさせる。
  3. 3.「あ」「い」「う」など単音を復唱させる。 ✓
  4. 4.「ちょうだい」の動作を教える。
  5. 5.知っている店のロゴを見せて行き先を伝える。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 「あ」「い」「う」など単音を復唱させる。 前言語期(語彙なし、音韻模倣なし)の自閉症児に対して、単音の復唱は段階を飛ばしすぎた指導であり不適切です。前言語期では、意図的コミュニケーション成立→音韻模倣という順序が重要であり、単音復唱は相互作用のない機械的練習になりやすく、発達段階に合致しません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 感覚運動遊びを繰り返して要求表現を待つ。 ✅ 正しい。前言語期の指導の基本です。子どもの好みの感覚遊び(くすぐりなど)を意図的に繰り返し、子どもからの要求を引き出す手法は、意図的コミュニケーション成立に有効です。 2. 話者の方へ子供の注意を向けさせる。 ✅ 正しい。自閉症児は注視の共有が困難なため、対面関係を作り、相手への注意を向けさせることは基本的な指導です。これなくしてコミュニケーションの成立は難しいです。 3. 「あ」「い」「う」など単音を復唱させる。 ❌ 誤り。前言語期には不適切です。単音の復唱は音韻模倣の段階にあり、その前提として「意図的コミュニケーション」と「音韻基盤の発達」が必要です。発達段階を無視した純粋な音の模倣練習は、相互作用がなく、自閉症児の学習特性に反します。 4. 「ちょうだい」の動作を教える。 ✅ 正しい。要求表現の基本となるジェスチャー教示です。前言語期では、動作による意図的表現が言語へ移行する足がかりになります。 5. 知っている店のロゴを見せて行き先を伝える。 ✅ 正しい。視覚的支援は自閉症児の強みを活かした指導です。絵カードやロゴなどの視覚的手がかりを利用して、前言語期から予測可能性を高め、コミュニケーション意図を育てます。 --- 【試験対策ポイント】 発達段階と指導順序の重要性: | 発達段階 | 特徴 | 指導内容 | |---|---|---| | 前言語期 | 語彙なし、音韻模倣なし | 意図的コミュニケーション成立(指差し・動作) | | 初語期 | 語彙1〜50語 | 音韻模倣・語彙拡大・語彙爆発準備 | | 語彙爆発期 | 50語以上 | 2語文へ向けた語彙増加 | 自閉症児の前言語期指導の3大原則: - 相互作用を基盤とする(感覚遊び→要求) - 視覚的支援を活用する(ロゴ・絵カード) - 動作・ジェスチャーで表現を教える(「ちょうだい」など) 単音復唱が不適切な理由: - 相互作用のない機械的練習 - 意図的コミュニケーション成立前に音韻練習を強要 - 自閉症児の強み(視覚・相互作用)を活かしていない 視覚的支援が有効な理由(自閉症児の特性): - 視覚情報処理の優位性 - 予測可能性が不安軽減につながる - 抽象的な言語より具体的な視覚刺激が理解しやすい
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