第18回 言語聴覚士国家試験 第172問
言語発達障害学第18回
小学3年生の注意欠陥/多動性障害児への配慮で適切なのはどれか。
a.教室に子供の作品などの掲示物を増やす。
b.授業中の私語に対してそのつど注意する。
c.他児の行動が見えるように座席を一番後ろにする。
d.宿題のプリント1枚あたりの問題数を少なくする。
e.メモした持ち物を忘れずに持参したらほめる。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e
ADHD児への支援は「環境調整」と「ポジティブな行動強化」が基本です。問題数を減らす(認知負荷軽減)とほめることで増強(実行機能と動機づけ支援)が、根拠のある効果的な配慮です。
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【各選択肢の解説】
a. 教室に子供の作品などの掲示物を増やす。
❌ 誤り。ADHD児は環境刺激への過敏性が高く、掲示物が増えると視覚的刺激が増加して注意散漫がさらに悪化します。むしろ刺激を最小化すべきです。
b. 授業中の私語に対してそのつど注意する。
❌ 誤り。頻繁な注意(ネガティブフィードバック)は行動を増強するのではなく、ADHD児のストレスや反発を招きやすく、注意散漫をさらに助長します。むしろ望ましい行動が見られたときにほめることが効果的です。
c. 他児の行動が見えるように座席を一番後ろにする。
❌ 誤り。他児の行動が見えると、それらが刺激となってADHD児の注意がそちらに向かいやすくなります。むしろ教師の近く(前方)で視野に入る刺激を制限し、教師の指導や支援を受けやすいことが重要です。
d. 宿題のプリント1枚あたりの問題数を少なくする。
✅ 正しい。ADHD児は認知負荷が高いと遂行機能が低下します。問題数を減らすことで達成可能性を高め、学習意欲の維持と成功経験の確保ができます。これは根拠のあるADHD支援の標準的配慮です。
e. メモした持ち物を忘れずに持参したらほめる。
✅ 正しい。ADHD児は実行機能の弱さから忘れ物が多いのが特徴です。望ましい行動(記憶・実行)が見られたときにほめることで、行動が増強・定着しやすくなります。ポジティブ強化はADHDの行動支援の基本です。
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【試験対策ポイント】
ADHD児への配慮原則:
| 効果的な配慮 | 非効果的・逆効果な配慮 |
|---|---|
| 環境刺激の最小化 | 掲示物増加・周囲の様子が見える座席 |
| 問題量・課題量の削減 | 通常通りの量を要求 |
| 実行機能サポート(チェックリスト・視覚的支援) | 口頭指示のみ |
| 望ましい行動へのポジティブ強化 | 私語などへの頻繁な叱責 |
| 教師の近い座席配置 | 後ろの座席配置 |
紛らわしい選択肢の区別:
- bとeは「注意(叱る)vs ほめる」という対比→ADHD児には後者が機能的
- cは「自立させるため後ろに座らせる」という一般的配慮に見えるが、ADHD児には逆効果