STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第177問

音声障害第18回
喉頭摘出後の音声獲得の手段として適切でないのはどれか。
  1. 1.食道発声
  2. 2.笛式人工喉頭
  3. 3.電気式人工喉頭
  4. 4.咽頭弁形成術 ✓
  5. 5.気管食道瘻作成術

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 咽頭弁形成術 喉頭摘出後の音声獲得手段は「音源の代替」と「調音機構の活用」という2つのアプローチに分かれます。咽頭弁形成術は喉頭摘出とは無関係な手術で、口蓋裂や鼻咽腔閉鎖不全の治療法であり、音声喪失の代替手段ではありません。喉頭摘出後の音声獲得には、食道や人工喉頭、気管食道瘻といった喉頭機能そのものを代替する方法が用いられます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 食道発声 ✅ 適切です。食道に吸引した空気を排出する際、咽頭食道接合部の組織を音源として振動させ、その音を調音器官で加工します。外部機器不要で、習得に時間を要しますが、最も自然な音声が得られます。 2. 笛式人工喉頭 ✅ 適切です。外部の音源(笛状のバイブレータ)を口に挿入し、患者の呼気で振動させて音を発生させます。喉頭摘出患者の最初の音声獲得手段として広く用いられ、早期から音声コミュニケーションが可能です。 3. 電気式人工喉頭 ✅ 適切です。首や口腔内に当てた電動バイブレータで音を発生させ、その音を調音器官で加工します。操作が簡便で、全身状態が悪い患者にも使用でき、食道発声の導入前の過渡的手段として活用されます。 4. 咽頭弁形成術 ❌ 適切ではありません。咽頭弁形成術は咽頭後壁に組織弁を形成する手術で、口蓋裂患者の鼻咽腔閉鎖不全や、咽頭空間を狭める機能を有するもので、喉頭摘出患者の音声獲得には全く無関係です。喉頭機能そのものを代替しません。 5. 気管食道瘻作成術 ✅ 適切です。気管と食道を人工的に交通させ、肺からの呼気を食道経由で排出する際に音源を作る方法(Provox等の弁を使用)。習得に工夫が必要ですが、自然な音声獲得が期待でき、食道発声と並ぶ重要な手段です。 --- 【試験対策ポイント】 喉頭摘出後の音声獲得手段の分類 【音源の種類別】 - 食道内空気:食道発声、気管食道瘻作成術 - 外部デバイス:笛式人工喉頭、電気式人工喉頭 【習得難度・発話品質比較表】 | 手段 | 習得難度 | 音声品質 | 導入時期 | 機器依存 | |---|---|---|---|---| | 笛式人工喉頭 | 低 | 低 | 早期 | あり | | 電気式人工喉頭 | 低 | 低 | 早期 | あり | | 食道発声 | 高 | 高 | 中期以降 | なし | | 気管食道瘻作成術 | 中 | 高 | 術後 | 弁あり | 【キーワード】 - 咽頭弁形成術:「口蓋裂」「鼻咽腔閉鎖不全」→喉頭摘出との無関連 - Provox:気管食道瘻用の代表的な弁デバイス - 選択肢の鑑別:「何が音源か」に着目(気道由来か外部デバイスか)
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