第18回 言語聴覚士国家試験 第185問
嚥下障害第18回
経口摂取訓練を行う状態として適切でないのはどれか。
- 1.自力歩行が困難である。
- 2.気管切開を受けている。
- 3.咳嗽反射が保たれている。
- 4.意識レベルがJCS 20である。 ✓
- 5.血中酸素飽和度が95%である。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 意識レベルがJCS 20である。
JCS 20は昏睡状態(JCS 300は最も重症)を示し、嚥下の最前提である意識覚醒が著しく低下しているため、経口摂取訓練を開始することは危険です。一方、その他の項目は経口摂取訓練の禁止理由にはなりません。
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【各選択肢の解説】
1. 自力歩行が困難である。
✅ 正しい。自力歩行困難は経口摂取訓練の禁止理由ではありません。ADL低下は別の問題であり、嚥下機能が良好なら訓練は可能です。むしろ臥床患者でも嚥下反射が保たれていれば訓練を行うことがあります。
2. 気管切開を受けている。
✅ 正しい。気管切開術単独では誤嚥防止にはなりませんが、むしろ気管切開があることで呼吸管理が確保されているため、経口摂取訓練を開始しやすい状態といえます。気管切開患者こそ、訓練を通じて経口摂取への回復を目指します。
3. 咳嗽反射が保たれている。
✅ 正しい。咳嗽反射は誤嚥物の排出機構であり、保たれていることは経口摂取訓練の安全性指標です。むしろ咳嗽反射が消失している場合こそ訓練開始の禁止理由となります。
4. 意識レベルがJCS 20である。
❌ 誤り(経口摂取訓練に不適切)。JCS 20は「刺激に応じて開眼する」レベルの昏睡状態です。嚥下には口腔期の随意的制御が必須であり、深い意識障害では反射的嚥下すら危険(誤嚥・誤嚥性肺炎のリスク)となるため、訓練開始不可の最重要禁止理由です。
5. 血中酸素飽和度が95%である。
✅ 正しい。SpO₂ 95%は正常〜良好な酸素飽和度です。呼吸管理が安定している証であり、経口摂取訓練を行ううえで問題ありません。
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【試験対策ポイント】
経口摂取訓練開始の判断基準:
| 項目 | 訓練可能 | 訓練不可 |
|---|---|---|
| 意識レベル | JCS 0〜10(目安) | JCS 20以上(昏睡) |
| 咳嗽反射 | 保たれている | 消失している |
| 嚥下反射 | 保たれている | 消失している |
| SpO₂ | 90%以上 | 90%未満 |
| 呼吸管理 | 安定 | 不安定・人工呼吸器設定高い |
| 食道逆流 | 無い | 活動的に存在 |
関連否定知識:
- 気管切開単独では誤嚥防止にならない(むしろ喉頭上の圧力低下で誤嚥リスク増加の可能性)
- 自力歩行困難はADL問題であり、嚥下能力とは別
- SpO₂低下の原因が嚥下障害であれば問題だが、95%であれば問題ない
JCS判定のポイント:
- JCS 0〜10:目を開けて指示に従える
- JCS 20〜30:刺激に応じて開眼するが不十分
- JCS 100以上:痛み刺激に反応したり反応しなかったり