第18回 言語聴覚士国家試験 第193問
成人聴覚障害第18回
耳硬化症の特徴はどれか。
- 1.c5dip
- 2.鼓膜弛緩部穿孔
- 3.高音障害型難聴
- 4.2,000HZの骨導閾値上昇 ✓
- 5.膿性耳漏
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 2,000HZの骨導閾値上昇
耳硬化症は前庭窓部(卵円窓)でのアブミ骨脚の固着を特徴とする中耳伝音機構の異常です。進行すると蝸牛硬化により内耳(骨迷路)も侵犯され、骨導閾値も上昇します。特に2,000Hz付近の骨導上昇(カルハルト効果:Carhart effect)が病理学的特徴として知られています。
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【各選択肢の解説】
1. c5dip
❌ 誤り。c5dipは4,000〜6,000Hz帯域の気導閾値低下パターンで、騒音性難聴の典型的なオージオグラム所見です。耳硬化症では見られません。
2. 鼓膜弛緩部穿孔
❌ 誤り。鼓膜弛緩部穿孔は慢性化膿性中耳炎(安全型)の特徴です。耳硬化症では鼓膜は正常で、アブミ骨脚の固着が本態です。
3. 高音障害型難聴
❌ 誤り。耳硬化症は初期には伝音聴力低下(骨導正常)を呈し、低音より中音域で顕著です。高音障害型(4,000Hz以上の骨導低下)ではありません。
4. 2,000HZの骨導閾値上昇
✅ 正しい。カルハルト効果と呼ばれ、耳硬化症が蝸牛硬化により内耳を侵犯する際に、2,000Hz付近の骨導閾値が特異的に上昇します。病理学的診断に有用です。
5. 膿性耳漏
❌ 誤り。耳硬化症は骨形成異常による無菌的疾患で、膿性耳漏を伴いません。膿性耳漏は慢性化膿性中耳炎などの感染性疾患の特徴です。
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【試験対策ポイント】
耳硬化症とその他の中耳疾患の鑑別
| 項目 | 耳硬化症 | 慢性化膿性中耳炎 | 騒音性難聴 |
|---|---|---|---|
| 原因 | 骨形成異常 | 感染・穿孔 | 騒音曝露 |
| 耳漏 | なし | あり(膿性) | なし |
| 鼓膜 | 正常 | 穿孔 | 正常 |
| 初期所見 | 伝音難聴 | 伝音難聴 | 骨導低下 |
| 気導骨導差 | あり | あり | なし |
| 特異的パターン | カルハルト効果(2kHz骨導↑) | c5dip(4〜6kHz気導↓) | c5dip(4〜6kHz気導↓) |
| 最終段階 | 混合難聴 | 可変 | 感音難聴 |
耳硬化症の進行と骨導変化
- 初期:伝音聴力低下のみ(骨導正常)
- 進行期:2,000Hz付近の骨導上昇(カルハルト効果)
- 末期:全周波数で骨導低下(蝸牛硬化)
カルハルト効果の臨床意義
- 蝸牛硬化が内耳に波及したことの証拠
- 聴力低下の自然進行を示す
- 手術(アブミ骨手術)の適応判定に使用