第18回 言語聴覚士国家試験 第194問
補聴器・人工内耳第18回
軽度難聴者に対する補聴器の効果の評価に用いるのに適切でないのはどれか。
- 1.テレビドラマの音声
- 2.一対一の対面での音声 ✓
- 3.小さめの音声
- 4.離れた話者の音声
- 5.雑音下の話者の音声
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 一対一の対面での音声
補聴器の効果評価には、実生活で経験する様々な難聴場面を反映した刺激が必要です。一対一の対面での音声は、音量・音質ともに最適で、補聴器がなくても比較的聞き取れる場面であるため、軽度難聴者における補聴器の効果を適切に評価できません。補聴器の真の有用性は、聞き取りが困難な場面(雑音下・遠距離・小音量)での改善度を測ることで初めて明らかになります。
---
【各選択肢の解説】
1. テレビドラマの音声
✅ 適切。テレビの音声は、複数の話者が存在し、背景音楽や効果音が混在する実生活的な聴覚環境を再現しており、補聴器なしでは聞き取り困難な軽度難聴者が多いため、補聴器の効果を評価するのに有用です。
2. 一対一の対面での音声
❌ 適切でない。対面場面では、相手の話者が目の前にいて音量が十分で、音質も明瞭です。軽度難聴者であれば、補聴器なしでも比較的良好に聞き取れることが多く、補聴器装用による改善度の差が小さくなり、補聴器の効果を敏感に捉えられません。
3. 小さめの音声
✅ 適切。軽度難聴者が聞き取り困難とする場面の典型であり、補聴器による利得が顕著に現れる条件です。補聴器の効果測定に有用な刺激です。
4. 離れた話者の音声
✅ 適切。距離があるため音圧が減衰し、補聴器なしでは聞き取り困難になりやすい実生活的な場面です。補聴器による改善効果が明確に評価できます。
5. 雑音下の話者の音声
✅ 適切。背景雑音が存在する環境は実生活で頻繁に遭遇し、軽度難聴者にとって最も困難な聴覚場面です。補聴器の効果測定における最重要条件です。
---
【試験対策ポイント】
補聴器効果評価に適した刺激と不適切な刺激の対比:
| 評価刺激 | 難聴者の聞き取り難度 | 補聴器効果の明確性 | 実用性 |
|---|---|---|---|
| 一対一対面音声 | 低(補聴器なしでも聞き取れる) | 低 | 低 |
| テレビドラマ | 中~高 | 高 | 高 |
| 小さめの音声 | 高 | 高 | 高 |
| 離れた話者 | 高 | 高 | 高 |
| 雑音下の話者 | 最高 | 最高 | 最高 |
キーワード:
・補聴器効果の評価=「補聴器がなくては困難な場面」を選定すること
・軽度難聴者は高音量・至近距離では補聴器の恩恵が小さい
・雑音下での語音明瞭度測定(騒音室での実施)が gold standard
・実生活への転用性が最も高い条件を選ぶ