第18回 言語聴覚士国家試験 第196問
成人聴覚障害第18回
成人の聴覚障害者の聴取能力について正しいのはどれか。
- 1.句より音韻の聞き分けが困難である。 ✓
- 2.新奇な話題は聞き取りやすい。
- 3.裸耳で語音の識別が困難な場合、補聴器は活用できない。
- 4.人工内耳では騒音下でも聴取能力は変化しない。
- 5.最高語音明瞭度60%は身体障害者福祉法の聴覚障害に該当する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 句より音韻の聞き分けが困難である。
成人の聴覚障害者は、音韻レベル(個々の音の区別)よりも、文脈や状況を利用できる句や文のレベルで聞き取りやすいという特性を持っています。これは「上位レベルの言語処理が相対的に保持されている」ことを意味します。
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【各選択肢の解説】
1. 句より音韻の聞き分けが困難である。
✅ 正しい。聴覚障害者は、文脈や文法的情報が活用できる「句」の理解は相対的に容易ですが、単独の「音韻」の識別には高度な処理が必要なため、より困難になります。これは補聴器や人工内耳の利用においても重要な特性です。
2. 新奇な話題は聞き取りやすい。
❌ 誤り。むしろ逆です。新奇(初めての、予測できない)話題は、文脈や背景知識が活用できないため、聴覚障害者にとっては聞き取りにくくなります。既知の話題のほうが内容予測が可能で聞き取りやすくなります。
3. 裸耳で語音の識別が困難な場合、補聴器は活用できない。
❌ 誤り。補聴器は「音を増幅する」ことで、識別困難な音も聞こえやすくします。裸耳で識別困難であっても、補聴器装用により音声入力の量が増えることで、利用者自身の言語処理能力と組み合わせた聞き取りが可能になります。
4. 人工内耳では騒音下でも聴取能力は変化しない。
❌ 誤り。人工内耳使用者も健聴者と同様、騒音環境では聴取能力が低下します。特に複数の音源がある環境では「カクテルパーティー効果」の維持が課題となり、騒音下での言語識別は良好ではありません。
5. 最高語音明瞭度60%は身体障害者福祉法の聴覚障害に該当する。
❌ 誤り。身体障害者福祉法の聴覚障害の基準は「最高語音明瞭度が50%以下」と定められています。60%では基準を超過するため、身体障害認定の対象外となります。
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【試験対策ポイント】
聴覚障害の聞き取り特性:
| 条件 | 聞き取りやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 句・文のレベル | ◎ | 文脈・予測が活用可能 |
| 音韻・単語 | △ | 文脈がないため純粋な音の処理に依存 |
| 既知話題 | ◎ | 背景知識が補償的に機能 |
| 新奇話題 | × | 予測不可、文脈的支援がない |
| 静かな環境 | 相対的に良好 | 信号音と背景音の差が大きい |
| 騒音環境 | × | 目的音と雑音の分離が困難 |
補聴器・人工内耳の重要事項:
- 補聴器:増幅により「入力信号量を増加」させる。裸耳で困難な場合も活用可能
- 人工内耳:騒音下での聴取能力は必ず低下する。健聴者と同じ課題を共有
- 「最高語音明瞭度」:50%以下が身体障害者福祉法の基準(重要)
重要な否定知識:
- 「音韻理解より文や句の理解が難しい」は逆(最頻出誤りポイント)
- 新奇な話題のほうが聞きにくい(既知内容と比較して)
- 補聴器は「識別