第18回 言語聴覚士国家試験 第199問
補聴器・人工内耳第18回
補聴器のベントについて正しいのはどれか。
- 1.ベントによって耳閉感が軽減する。 ✓
- 2.ベントの内径が細いほど高音域まで影響する。
- 3.軽度難聴者の補聴器にベントは用いない。
- 4.ベントの長さが長いほど低音域の減衰に効果がある。
- 5.耳あな型補聴器にベントは用いられない。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — ベントによって耳閉感が軽減する。
ベント(vent)は補聴器の耳栓(イヤモールド)に設けられた小孔で、外部音を直接鼓膜付近に導くとともに、耳道内の気圧を逃がす役割を担います。この気圧逃避機能が「耳閉感」(自分の声や咀嚼音が耳の中で響く不快感)を軽減させる最大の効果です。ベントは軽度難聴者こそ活用価値があり、耳あな型補聴器にも採用されています。
---
【各選択肢の解説】
1. ベントによって耳閉感が軽減する。
✅ 正しい。ベントが耳道内の気圧を逃がし、閉塞感を減少させます。これはベントの最も重要な機能の一つです。
2. ベントの内径が細いほど高音域まで影響する。
❌ 誤り。ベントの内径が細いほど、むしろ低周波数(低音域)に対する減衰が大きくなります。内径が細い→音響抵抗が増加→低音が減衰、という関係です。高音域への影響は内径が細いほど小さくなります。
3. 軽度難聴者の補聴器にベントは用いない。
❌ 誤り。むしろその逆です。軽度難聴者(特に低音聴力が比較的保存されている場合)にこそベントは有効です。これにより正常に近い低音聴取が可能になり、補聴器の自然さが増します。
4. ベントの長さが長いほど低音域の減衰に効果がある。
❌ 誤り。ベント長が長いほど音響抵抗が増加し、より広い周波数帯域(特に低周波数)に減衰効果が現れます。ただし「効果がある」という表現が曖昧で、通常は「低音が減衰する(フラットになる)」と言うべきです。設問の文脈では「減衰に効果がある」と限定した場合は不正確です。
5. 耳あな型補聴器にベントは用いられない。
❌ 誤り。耳あな型補聴器(カナル型など)にもベント孔が設けられることが多くあります。ただし耳かき型より孔が小さくなる傾向があります。
---
【試験対策ポイント】
ベント(vent)の3つの主要効果と特性
| 項目 | 特性 |
|---|---|
| **主要機能** | 耳閉感軽減(気圧逃避)、低音漏れ導入 |
| **最適な対象** | 軽度難聴者(低音聴力が保存されている患者) |
| **内径との関係** | 細い → 低音減衰大、広い → 低音減衰小 |
| **長さとの関係** | 長い → 低音への影響大、短い → 高音に近い周波数に影響 |
| **使用補聴器形** | 耳かき型・耳あな型(カナル型含む)両方で使用 |
ベント活用の原則
- 軽度難聴かつ低音聴力良好 → ベント使用推奨
- 高度難聴 → ベント不可(フィードバック増加)
- 耳閉感が強い患者 → ベント拡大検討
- フィードバック問題 → ベント縮小または閉鎖
紛らわしい選択肢の区別法
- 「ベント内径が細い」「ベント長が長い」の両方は「低周波減衰」を強調しますが、メカニズムが違う点に注意。内径は音響抵抗、長さは管長による周波数特性に影響。
- 選択肢3「軽度難聴者に