第18回 言語聴覚士国家試験 第22問
聴覚系第18回
伝音難聴で最も聴力低下が大きくなるのはどれか。
- 1.鼓室内に滲出液がある。
- 2.鼓膜に穿孔がなく、耳小骨連鎖離断がある、 ✓
- 3.鼓膜に穿孔があり、耳小骨連鎖離断がある。
- 4.鼓膜に穿孔かあり、耳小骨連鎖離断がない。
- 5.鼓膜に石灰化かある。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 鼓膜に穿孔がなく、耳小骨連鎖離断がある。
伝音難聴の程度は「鼓膜の状態」と「耳小骨連鎖の完全性」の両方で決まります。鼓膜穿孔がないことで鼓膜が振動を効率よく耳小骨に伝えられるのに、耳小骨連鎖が切断されていると、その後の振動伝播が完全に遮断されます。つまり「入力側は正常だが出力側が遮断」という状態になり、聴力低下は最大になります(通常40~60dB)。これに対して鼓膜穿孔がある場合は、穿孔自体が音圧の平衡を招くため、聴力低下の悪化を相対的に緩和します。
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【各選択肢の解説】
1. 鼓室内に滲出液がある。
❌ 誤り。中耳炎による滲出液は鼓膜と耳小骨の振動性を低下させますが、聴力低下は通常20~30dB程度です。耳小骨連鎖は物理的に切断されていないため、最大低下には至りません。
2. 鼓膜に穿孔がなく、耳小骨連鎖離断がある。
✅ 正しい。完全な鼓膜によって空気振動は耳小骨に効率よく伝わりますが、耳小骨連鎖が遮断されているため、振動は卵形窓を経由して内耳に到達できず、最大限の聴力低下(40~60dB)が生じます。
3. 鼓膜に穿孔があり、耳小骨連鎖離断がある。
❌ 誤り。穿孔による「直接窓効果」が働き、一部の音が鼓膜穿孔部位から直接内耳圧受容器を刺激するため、聴力低下は緩和されます。結果として2番より聴力低下は小さくなります(通常30~50dB)。
4. 鼓膜に穿孔があり、耳小骨連鎖離断がない。
❌ 誤り。鼓膜穿孔自体は空気伝導を阻害しますが、穿孔部から骨伝導刺激の一部が直接内耳に伝わるため、聴力低下は20~40dB程度に留まります。耳小骨連鎖は機能しているため、2番より低下が小さい。
5. 鼓膜に石灰化がある。
❌ 誤り。鼓膜の石灰化は振動性を低下させますが、耳小骨連鎖には直接影響しません。聴力低下は10~20dB程度の軽微なものになります。
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【試験対策ポイント】
伝音難聴の聴力低下度の序列(大きい順)
| 状態 | 聴力低下程度 | 理由 |
|---|---|---|
| 鼓膜正常 + 耳小骨連鎖離断 | 最大(40~60dB) | 振動伝播が完全遮断される |
| 鼓膜穿孔 + 耳小骨連鎖離断 | 中~大(30~50dB) | 直接窓効果で若干緩和 |
| 滲出液 + 耳小骨連鎖正常 | 中(20~30dB) | 振動性低下のみ |
| 鼓膜穿孔 + 耳小骨連鎖正常 | 小~中(20~40dB) | 直接窓効果で部分的に代償 |
| 鼓膜石灰化 + 耳小骨連鎖正常 | 軽微(10~20dB) | 振動性