第18回 言語聴覚士国家試験 第32問
臨床心理学第18回
認知療法について正しいのはどれか、
- 1.治療者と患者は共同経験主義に基づき治療を進める。 ✓
- 2.家族の再構造化に焦点を当てて治療を進める。
- 3.自由連想法によって無意識を意識化する。
- 4.Perls, F. S.を中心に提唱された心理療法である。
- 5.注意の集中や自己暗示訓練によって心身の状態を自分でコントロールする。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 治療者と患者は共同経験主義に基づき治療を進める。
認知療法はアルバート・エリスやアーロン・ベックによって開発された心理療法であり、治療者と患者が対等な立場で協力し、患者の自動思考や認知的歪みを同じ目線で検討する「共同経験主義」を基本原則としています。これが認知療法の最大の特徴です。
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【各選択肢の解説】
1. 治療者と患者は共同経験主義に基づき治療を進める。
✅ 正しい。認知療法の核となる原則です。治療者は上位的な立場ではなく、患者とともに思考の癖や認知的歪みを協働で検討し、変化させていきます。このパートナーシップが治療効果を高めます。
2. 家族の再構造化に焦点を当てて治療を進める。
❌ 誤り。これは家族療法(特に構造派家族療法など)の特徴です。認知療法は個人の思考や信念の変容に焦点を当てるもので、家族の関係構造の再構造化は主たる目的ではありません。
3. 自由連想法によって無意識を意識化する。
❌ 誤り。これは精神分析療法(フロイト)の古典的手法です。認知療法は無意識へのアプローチではなく、現在の自動思考(意識レベルの思考)と認知的歪みの修正に焦点を当てています。
4. Perls, F. S.を中心に提唱された心理療法である。
❌ 誤り。Perls, F. S.はゲシタルト療法の創始者です。認知療法はアーロン・ベック(Beck, A. T.)やアルバート・エリス(Ellis, A.)によって開発されました。
5. 注意の集中や自己暗示訓練によって心身の状態を自分でコントロールする。
❌ 誤り。これは自律訓練法(シュルツ)や催眠療法などの特徴です。認知療法は思考の修正に重点を置き、暗示や自動暗示訓練は主要な手法ではありません。
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【試験対策ポイント】
認知療法の基本特性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創始者 | アーロン・ベック、アルバート・エリス |
| 焦点 | 現在の自動思考と認知的歪みの修正 |
| 治療関係 | 共同経験主義(対等なパートナーシップ) |
| 技法 | 認知的再構成、行動実験、ホームワーク |
| 対象 | うつ病、不安障害、PTSD等 |
主要な心理療法との区別
| 療法 | 創始者 | 焦点 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 精神分析 | フロイト | 無意識 | 自由連想法 |
| ゲシタルト療法 | Perls | 現在の体験・気づき | エンプティチェア |
| 家族療法(構造派) | ミヌーチン | 家族関係の構造 | 再構造化 |
| 行動療法 | スキナー他 | 行動と環境の関係 | 強化スケジュール |
| 認知療法 | ベック他 | 思考と認知的歪み | 共同経験主義 |
| 自律訓練法 | シュルツ | 心身のコントロール | 段階的弛緩訓練 |
ST試験では「共同経験主義」「自動思考の修正」が認知療法の合言葉です。これと他療法(特に精神分析とゲシタルト)を区別することが得点のカギになります。