STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第34問

生涯発達心理学第18回
「発達の最近接領域」という考え方の提唱者はどれか。
  1. 1.Wallon,H.
  2. 2.Bower,T.G.R.
  3. 3.Chomsky,N.
  4. 4.Jung,C.G.
  5. 5.Vygotsky,L.S. ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — Vygotsky,L.S. 「発達の最近接領域(Zone of Proximal Development:ZPD)」は、ソビエトの発達心理学者ヴィゴツキーが提唱した理論です。現在の実力では解けない課題でも、大人の援助があれば解ける領域を「最近接領域」と呼び、これが学習・発達の重要な領域と考えました。 --- 【各選択肢の解説】 1. Wallon,H.(ワロン) ❌ 誤り。フランスの発達心理学者。感情と動作の関係、社会的相互作用の重要性を強調しましたが、最近接領域の概念は提唱していません。 2. Bower,T.G.R.(バウアー) ❌ 誤り。アメリカの発達心理学者。乳幼児の知覚・認知発達を研究しましたが、最近接領域とは無関係です。 3. Chomsky,N.(チョムスキー) ❌ 誤り。言語学者。生成文法理論や言語獲得装置(LAD)を提唱しましたが、発達の最近接領域は提唱していません。 4. Jung,C.G.(ユング) ❌ 誤り。スイスの心理学者。分析心理学を創設し、無意識や集合的無意識を論じましたが、最近接領域とは異なる理論家です。 5. Vygotsky,L.S.(ヴィゴツキー) ✅ 正しい。ソビエトの発達心理学者。最近接領域(ZPD)の概念を提唱し、「足場かけ(スキャフォルディング)」による段階的支援の重要性を強調しました。社会文化的認知発達理論の基礎を築いています。 --- 【試験対策ポイント】 【発達理論の主要人物と概念の関連表】 | 理論家 | 国籍 | 主要概念 | |---|---|---| | ピアジェ | スイス | 認知発達段階(感覚運動期~形式的操作期) | | エリクソン | ドイツ系米国 | 心理社会発達8段階 | | ヴィゴツキー | ソビエト | 最近接領域・社会文化的認知発達 | | バンデューラ | カナダ系米国 | 社会的学習理論・自己効力感 | | ボウルビィ | イギリス | 愛着理論 | | ワロン | フランス | 情動と動作の相互関係 | 【最近接領域(ZPD)の実践的意義】 - 子どもが「一人でできる水準」と「大人の援助で達成できる水準」の間が学習効果最大の領域 - 足場かけ(スキャフォルディング):援助を段階的に減らしていく支援方法 - 言語聴覚士の指導法:クライアント個人の能力より高いレベルの目標設定が発達を促進 【押さえるべき否定知識】 - チョムスキーの「言語獲得装置」はあくまで言語論(生成文法) - ユングの「無意識」概念は最近接領域とは全く異なる - バウアーの乳幼児知覚研究は認知能力の「萌芽」の研究であり、発達支援理論ではない
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