第18回 言語聴覚士国家試験 第42問
聴覚系第18回
補充現象について正しいのはどれか。
- 1.中耳綴能の障害によって生じる。
- 2.ダイナミックレンジが拡大する。
- 3.健聴耳よりも不快閾値が上昇する。
- 4.外有毛細胞による増幅機能の低下が関連する。 ✓
- 5.ラウドネスの上昇が緩慢である。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 外有毛細胞による増幅機能の低下が関連する。
補充現象は感音難聴患者において、音量が増加するにつれて、その音を大きく感じる程度が健聴者と同様かそれ以上になる現象です。これは内有毛細胞は保存されているが、外有毛細胞の機械的増幅機能が低下または消失していることが原因です。外有毛細胞の機能低下によって低音量での検出感度が落ちるため、音量を上げると健聴者との感覚差が縮まります。
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【各選択肢の解説】
1. 中耳機能の障害によって生じる。
❌ 誤り。補充現象は感音難聴(内耳障害)に特徴的であり、伝音難聴では生じません。中耳機能障害は伝音難聴を引き起こすため、関連がありません。
2. ダイナミックレンジが拡大する。
❌ 誤り。むしろ「縮小」します。正常者は最小可聴値から不快閾値までの範囲が広いですが、補充現象がある患者では最小可聴値は上がっても不快閾値は変わらないため、範囲が狭くなります。
3. 健聴耳よりも不快閾値が上昇する。
❌ 誤り。不快閾値は感音難聴でもほぼ変わらず、約120dBSPL付近に留まります。むしろ最小可聴値が上昇するため、相対的に範囲が縮小します。
4. 外有毛細胞による増幅機能の低下が関連する。
✅ 正しい。内耳の外有毛細胞は音を増幅する機械的な役割を担っており、この機能低下が補充現象の本質です。内有毛細胞が保存されているため、音量が上がると直接的に内有毛細胞が反応し、健聴者と同程度のラウドネスを感じます。
5. ラウドネスの上昇が緩慢である。
❌ 誤り。補充現象では「ラウドネスの上昇が急峻」です。低音量では聞こえにくいが、音量が増えると急激に大きく感じるようになります。緩慢なのではなく、むしろ異常に速い上昇です。
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【試験対策ポイント】
補充現象(Loudness recruitment)の整理:
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 発生部位 | 内耳(感音難聴のみ) |
| 原因 | 外有毛細胞の機械的増幅機能の低下/消失 |
| 結果 | 低音量:聞こえない → 高音量:健聴者と同じ or 超える |
| ダイナミックレンジ | 縮小(最小可聴値↑、不快閾値→) |
| ラウドネス曲線 | 急峻な上昇 |
| 臨床的影響 | 補聴器の利得調整が困難(音量増加で不快感) |
**紛らわしい項目の区別:**
- 補充現象:感音難聴の診断補助(ABR異常でも本来は感音難聴と判定)
- 中耳機能障害(伝音難聴):補充現象なし
- 内有毛細胞vs外有毛細胞:両者保存なら補充現象なし