STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第56問

失語症第18回
中大脳動脈領域の脳梗塞で起こらないのはどれか。
  1. 1.ブローカ失語
  2. 2.ウェルニッケ失語
  3. 3.全失語
  4. 4.発語失行
  5. 5.左視野の失読 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 左視野の失読 中大脳動脈(MCA)は脳の側頭葉・頭頂葉・前頭葉の大部分を灌流します。MCA領域の梗塞では言語中枢(ブローカ野・ウェルニッケ野)や周辺領域の障害により失語症や発語失行が生じますが、視野欠損は主に視放線や後頭葉を灌流する後大脳動脈(PCA)領域の梗塞で起こります。失読は失語症の症状の一部として現れることはあっても、「左視野の失読」という視野限局性の読字障害はMCA梗塞の典型的症状ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. ブローカ失語 ✅ 正しい。ブローカ野は左MCA領域の下前頭回に位置するため、MCA梗塞で典型的に起こります。非流暢で努力的な発話が特徴です。 2. ウェルニッケ失語 ✅ 正しい。ウェルニッケ野は左MCA領域の上側頭回にあり、MCA梗塞で頻繁に障害されます。流暢だが意味不明な発話が特徴です。 3. 全失語 ✅ 正しい。MCA領域の広範な梗塞により言語機能全般が障害される場合、全失語が生じます。両ブローカ野とウェルニッケ野の障害による重度の言語障害です。 4. 発語失行 ✅ 正しい。発語失行は発語運動企画障害であり、ブローカ野周辺領域の障害で起こります。MCA領域の梗塞で現れることがあります。 5. 左視野の失読 ❌ 誤り。視野欠損は主に後大脳動脈(PCA)領域の梗塞で起こります。MCA梗塞では言語的な読字障害は現れても、視野限局性の読字障害は典型的ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 脳血管障害と支配領域の対応 | 動脈領域 | 灌流部位 | MCA梗塞で起こる症状 | |---|---|---| | 中大脳動脈(MCA)| 前頭葉・頭頂葉・側頭葉 | ブローカ失語・ウェルニッケ失語・全失語・発語失行・上肢麻痺・顔面麻痺 | | 後大脳動脈(PCA)| 後頭葉・側頭葉後部 | 視野欠損・色覚異常・失読 | | 前大脳動脈(ACA)| 前頭葉内側面・帯状皮質 | 下肢麻痺・自発性低下 | 失読が関連する梗塞領域 - 角回梗塞(ACA・MCA境界域):失読失書 - 後頭葉梗塞(PCA):視野欠損に伴う失読 - 左ウェルニッケ野梗塞:失語症の一症状として読字障害 重要否定知識 - 「左視野」という視野限局性の障害はMCA梗塞では起こらない - 失読が現れる場合、必ず視野欠損や角回障害を伴う後方領域の梗塞を考える
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