第18回 言語聴覚士国家試験 第60問
失語症第18回
失語症の訓練・指導について誤っているのはどれか。
- 1.心理面のサポートか必要である。
- 2.疲労に対する配慮が必要である。
- 3.急性期では集団訓練を優先する。 ✓
- 4.家族に対してコミュニケーション方法の指導をする。
- 5.訓練室以外の場所でも必要に応じて訓練を実施する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 急性期では集団訓練を優先する。
急性期では患者の全身状態が不安定で、疲労しやすく、集中力が低下している時期です。この段階では「個別訓練を優先」し、患者の状態を綿密に観察しながら段階的に進める必要があります。集団訓練は回復期以降、患者の状態が安定し、社会復帰に向けて社会的相互作用を促進する段階で導入されるべきです。
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【各選択肢の解説】
1. 心理面のサポートが必要である
✅ 正しい。失語症は言語機能障害に加え、自尊心低下・抑うつ・社会的孤立などの心理的問題を伴います。言語聴覚士は訓練と並行して心理的サポート(励まし、達成感の提供、感情表出の傾聴など)を行う必要があります。
2. 疲労に対する配慮が必要である
✅ 正しい。失語症患者は言語産出・理解に著しい努力を要し、訓練中の疲労が著しく増加します。適切な休息時間の確保、訓練時間の調整、休息中の観察が重要です。
3. 急性期では集団訓練を優先する
❌ 誤り。急性期は全身状態が不安定で、患者の認識・注意・疲労性が問題となるため「個別訓練を優先」すべき時期です。集団訓練は回復期以降、状態が安定してから社会的相互作用を促進する目的で導入されます。
4. 家族に対してコミュニケーション方法の指導をする
✅ 正しい。失語症の改善には家族の関わりが極めて重要です。言語聴覚士は家族に対して、患者の障害特性に合わせたコミュニケーション方法(ゆっくり話す、視覚的支援の活用、相互の確認など)を指導し、自宅での会話環境を改善させます。
5. 訓練室以外の場所でも必要に応じて訓練を実施する
✅ 正しい。生活場面での訓練(機能的訓練)は、習得した言語機能の汎化を促進し、生活に密着した改善をもたらします。リビング、食堂、廊下など様々な環境での訓練実施が推奨されます。
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【試験対策ポイント】
訓練段階別の重点
| 時期 | 重点 | 訓練形態 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 急性期(発症直後) | 状態把握・個別対応 | 個別訓練優先 | 全身状態不安定、疲労注意 |
| 回復期 | 機能改善・段階的進行 | 個別→集団へ移行 | 家族指導開始 |
| 維持期以降 | 社会復帰・QOL向上 | 集団訓練・社会参加 | 定期的評価・指導継続 |
訓練指導の重要原則
- 心理面のサポート:抑うつ・不安への対応は訓練効果を左右
- 疲労管理:過度な疲労は脳可塑性の低下に繋がる
- 個別性の尊重:失語症の病型・重症度・年齢により異なる訓練戦略
- 家族教育:自宅での会話環境改善は訓練効果の汎化に必須
- 環境設定:生活場面での訓練で実用性を高める
紛らわしい概念の区別
「集団訓練」は決して不適切ではなく、タイミングが重要。急性期の不安定な状態下での実施が問題。