STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第63問

高次脳機能障害第18回
脳梁損傷で起こらないのはどれか。
  1. 1.左手の失行
  2. 2.左手の失書
  3. 3.右手の構成障害
  4. 4.右手の左半側空間無視
  5. 5.右手の触覚性呼称障害 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 右手の触覚性呼称障害 脳梁損傷では、左半球(言語優位半球)と右半球の情報伝達が遮断されます。左手・右手の運動皮質や感覚皮質が左半球に支配される部分があっても、**脳梁損傷で直接起こる障害は「左半球から右半球への情報伝達遮断」による現象**です。触覚性呼称障害は言語野自体の障害により生じるため、脳梁損傷単独では起こりません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 左手の失行 ✅ 正しい。左手の運動指令は左半球の運動皮質から出されますが、複雑な動作学習は右半球にも保存されています。脳梁損傷で右半球への情報伝達が遮断されると、左手の観念失行(複雑な動作の意図的実行不可)が生じます。 2. 左手の失書 ✅ 正しい。左手で文字を書く指令は左半球の言語領域から出ますが、脳梁損傷により言語情報が右半球に伝わらず、左手での文字表出が障害されます。右手での書字は保持されることが特徴です。 3. 右手の構成障害 ✅ 正しい。構成能力(図形や立体の構成)は右半球の空間認知機能が担います。脳梁損傷で左半球言語野が右半球の構成機能にアクセスできなくなり、言語的指導を受けても右手での構成行為が障害されます。 4. 右手の左半側空間無視 ✅ 正しい。左半側空間無視は右半球頭頂葉損傷で生じますが、脳梁損傷でも左半球から右半球への補償的情報流入が遮断されるため、右手(左半球支配)による左側空間への反応不足が現れます。 5. 右手の触覚性呼称障害 ❌ 誤り。触覚性呼称障害は、物体を触覚のみで認識して名称を言う課題が障害される現象です。これは**左半球の言語野(ウェルニッケ野)自体の機能障害**により生じます。脳梁損傷で左右の情報伝達が遮断されても、左半球言語野の基本機能は保持されているため、触覚情報が左半球に入力されれば呼称可能です。触覚性呼称障害は脳梁損傷では起こりません。 --- 【試験対策ポイント】 脳梁損傷の症候:左右半球の「情報伝達遮断」が本体 | 症候 | メカニズム | 特徴 | |---|---|---| | 左手の失行・失書 | 左半球運動指令が右半球に伝わらない | 右手は正常 | | 右手の構成障害 | 左半球が右半球の空間認知にアクセス不可 | 言語指導でも改善しない | | 左半側空間無視 | 左半球からの補償情報欠落 | 右手でも左側反応不足 | | 触覚性呼称障害 | 言語野自体の損傷(脳梁損傷とは別) | 脳梁損傷では起こらない | 重要な否定知識: - 脳梁損傷で起こる障害=「伝達遮断による現象」 - 脳梁損傷で起こらない障害=「一側脳損傷で起こる症候」(言語野損傷、視野欠損など) - 触覚性呼称障害の診断:両眼でも触覚のみの試行で呼称不可→左側頭葉言語野損傷を示唆
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