第18回 言語聴覚士国家試験 第66問
言語発達障害学第18回
発達性読み書き障害の障害仮説でないのはどれか。
a.二重障害仮説
b.盲韻認識障害仮説
c.遂行機能障害仮説
d.弱い中枢性統合仮説
e.視覚的注意スパン障害仮説
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c. 遂行機能障害仮説 、d. 弱い中枢性統合仮説
発達性読み書き障害(ディスレクシア)の主要な説明仮説は、音韻処理の欠陥を中核とするもの、視覚的・注意的メカニズムの障害、および複数の認知領域にわたる統合的欠陥を扱うものに大別されます。c と d は、この領域において提唱された仮説として認知されていません。一方、a・b・e はいずれも実証的支持を得ている有力な障害仮説です。
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【各選択肢の解説】
a. 二重障害仮説
✅ 正しい。音韻処理障害と視覚・注意的障害の両方が同時に存在することで読み書き障害が生じるとする説。複数の認知系統の欠陥を想定しており、発達性読み書き障害の多様な表現型を説明する有力な仮説です。
b. 盲韻認識障害仮説(音韻認識障害仮説)
✅ 正しい。音韻を明確に認識・操作する能力の障害が読み書き障害の中核とする説。「b→盲韻」は誤記の可能性がありますが、「音韻認識障害仮説」は発達性読み書き障害研究の最も広く支持される仮説です。
c. 遂行機能障害仮説
❌ 誤り。遂行機能(計画・抑制制御・ワーキングメモリ)の障害が主要な原因とする説は、発達性読み書き障害の標準的仮説として確立されていません。ADHD や高次脳機能障害の説明には用いられますが、読み書き障害の専門仮説ではありません。
d. 弱い中枢性統合仮説
❌ 誤り。この仮説は発達性読み書き障害の主流な説明仮説として認識されていません。「統合」概念自体が関連しますが、確立された障害仮説として教科書に記載される理論ではありません。
e. 視覚的注意スパン障害仮説
✅ 正しい。視覚処理系における注意資源配分やスパン(多数の文字を一度に処理する範囲)の制限が読み書き障害の原因となるとする説。視覚的アプローチから読み書き障害を説明する有力な仮説です。
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【試験対策ポイント】
発達性読み書き障害の主要仮説一覧
| 仮説名 | 対象認知領域 | 説明 | 実証 |
|---|---|---|---|
| 音韻認識障害仮説 | 音韻処理 | 音の微細な違いを認識・操作できない | ✅ 最有力 |
| 視覚的注意スパン障害仮説 | 視覚処理 | 複数文字を同時に処理できない | ✅ 有力 |
| 二重障害仮説 | 複合的 | 音韻処理+視覚処理の両障害 | ✅ 有力 |
| 遂行機能障害仮説 | 高次認知 | 計画・抑制制御の欠陥 | ❌ 主流でない |
| 弱い中枢性統合仮説 | 神経統合 | 確立されていない | ❌ 標準仮説でない |
キーワード:
- 「音韻」を含む仮説 → 読み書き障害の中核
- 「視覚」「注意」「スパン」 → 視覚的アプローチの仮説
- 「遂行機能」「統合」 → ADHD・自閉スペクトラム症との区別が必要